隣人推し活日記。【黒】

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「....................ん？」














自分の部屋に帰ってきて、床に置かれたクッションにポスッと膝を落とす。
さっき玄関の前で起こったことを必死で噛み砕いて理解しようとしたけれど、どうにも頭が働かない。





頭を撫でた意味は

苗字呼びから名前呼びになった理由は






考えれば考える程、単細胞な私は期待をする。













「いやいやいや....違う違う。違うって。だってよく考えてみ？他の人と会ってるんだよ？もし仮にそうなんだとしたら直でこっち来るじゃん普通」












いや待って............普通って何？
会ってきたのは誘われたからであって、

......ん？分かんない分かんない。




年甲斐もなく狼狽えては、ぽこぽこと生まれてくる期待を必死で振り払う。
そんなことを繰り返していたら朝日が昇り始め、ほんのりと柔らかい光が畳を照らしていた。













...













「おはようございます」













結局一睡も出来なかった私は寝不足のまま、いつもどおりの時間に玄関のドアを開ける。
するとタイミング良く隣の部屋玄関も開き、朝から爽やかな笑顔を向けられた。












「お、おは、おは、おはよう、！」












.............いや死ぬ程意識しとるやないかい！！

今目の前で爽やかな笑顔を向けているこの子よりも数年長く生きてるアラサー女が何を動揺している！？


って思うよね〜
うんうん。分かる分かる。
でも恥ずかしい話、私、追う恋は大得意だけど、追われる恋は未経験なので中学生と同様なんですよね。
やだ〜ピュア〜


....いや待て。
それより昨日のが幻覚だった可能性だって残ってるんだ。私の妄想かもしれないのに何を意識しているんだ。それこそ自意識過剰じゃないか。













「噛みすぎじゃない？」












ふはっと軽く笑い飛ばした彼は今までとまるで変わらなくて、やっぱり幻覚を見ていたのかもしれないと少しだけ恥ずかしくなる。














「まぁ、そんなAさんも可愛いけどね」


「え....」


「そんな驚く？素直な感想だったんだけど」


「いやだって....」


「もしかして、俺のこと意識してくれたとか？」













目を細めて笑いながら、昨日と同じようにポンッと頭に手を乗せる。親指が頭を撫でた時、飛び出てきてしまいそうなくらい心臓が跳ね上がった。




やっぱり自意識過剰じゃない....かも、




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