桜サク ページ44
海人side
家まで送ってくれたマネージャーさんに別れを告げ、家に帰る。
ドアを開けると真っ暗で、まだ廉は帰っていなかった。
寂しくてテレビをつけると、ニュースでアナウンサーさんが話している。
「今日、東京で桜が満開です！明日は雨の予報なので今日がピークかと思われます。」
あれ、満開だったのか。
帰りの車の中で見たあの桜並木。
昔、廉と付き合いたての頃、見に行ったっけ。
今年も廉と見たかったな。
なんて、車の中で思った。
今年は色々あったし、テレビに映る中継先のお花見客も少なそう。
俺も廉も忙しいし、写真撮れば良かったな。
そんなことを考えながら、ソファーに座りボーッとしてると、廉が帰ってきた。
「れんっ！おかえり！」
「ただいま〜」
「ねえっ、帰り、さくらみた？」
廉も同じこと思ってないかな？
なんて思いながら聞く。
「あ〜見てないわ」
「えぇっ！むっちゃキレイだったのに！」
「えぇ、マジぃ？」
「ホントだよ！どうせゲームしてたんでしょ！」
「おぉ！大正解！」
「そういう問題じゃないの！」
俺は廉と見たいって思ったのに。
そんなこと、恥ずかしくて言えるはずもなかった。
「んじゃあ、今から見に行く？」
「ぅえ？」
俺の心を読んだような言葉に俺は驚き、変な声が出る。
「嫌ならいいけ「行くっ！」」
被り気味に言った俺に
「ガハハっ元気やなあ」
そう言って頭を撫でる廉。
きっと、俺は一生この人には敵わないな、笑
Fin.
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作者名：月見ＵＳＡＧＩ | 作成日時：2021年2月14日 17時
