捨て猫のキミ ページ40
廉side
今日も大学で勉強し、
めんどくさい女子たちに囲まれ、
バイトで先輩にこき使われ、
本当に疲れた。
なんなんだこの人生。
家への帰り道を歩くのさえめんどくさい。
今日はせっかく新しい靴を履いたのに、生憎の雨。
傘を叩きつける雨粒の音が頭に響く。
ふと道端に目をやると、
ダンボールの中に小さい黒猫。
体が濡れていて、弱っている。
いつもならめんどくさいと思うのに何故か気にかけてしまう。
「にゃ〜」
弱々しい声で鳴くその猫は、俺に助けを求めている気がした。
「大丈夫か、？」
「にゃ〜ぉ？」
「ふふっ、お前、可愛ええな。」
撫でると気持ちよさそうに鳴く猫。
ふと、ダンボールの中に紙を見つけた。
"拾ってください。名前はかいです”
「かい、か。ええ名前やな、おれは、ながせれん」
人の言葉が通じるのか頷いたように見えた。
俺は無意識のうちにかいを拾って家に連れて帰っていた。
雨でびしょびしょになったかいをドライヤーで乾かす。
「にゃぉ〜」
気持ちよさそうに鳴くかいを俺は本気で好きになってしまった。
え？Loveとかじゃないよ？ペットとしてね？
猫って何食べるんだろ？
冷蔵庫を開けてみるとあるのは魚肉ソーセージ。
ん〜、まぁ大丈夫やろ！
「かい〜？ご飯やで？」
そう言って魚肉ソーセージを渡すと
待ってましたと言わんばかりにガブガブと一瞬で食い尽くすかい。
お腹すいとったんやな、可哀想に。
なんでこんな可愛いやつを捨てたんやろか？
俺はどんどんかいに愛着が湧き、かいを抱きしめて眠りについた。
こんなにすやすや眠れたのはいつぶりだろうというくらい気持ちよく寝れた。
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作者名：月見ＵＳＡＧＩ | 作成日時：2021年2月14日 17時
