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海人side
廉にフラれ、保健室を出た瞬間涙が溢れた。
でも、ここで泣いたら廉に聞こえちゃうから。
誰もいない場所、屋上に向かおうと思った。
階段を登っている間、ずっと廉の顔が浮かぶ。
「ごめん海人。好きや。大好きやった。」
優しい顔でそう言った廉。
嫌いって、お前なんか大嫌いや。
って、突き放してくれたら俺も諦められたのに。
なんでトドメ刺してくれないの。
酷いよ廉。
溢れる涙を拭う。
屋上の扉を開き、風があたる端っこに座る。
涙が止まらなくて、俺、こんなに廉のこと好きだったんだな。
それからどれくらい経ったか分からない。
泣き疲れて、寝ていたみたい。
音楽でも聞こうかな。
曲を選ぶのもめんどくさくて、適当に流した。
流れてきたのは、保健室で廉と聞いた恋愛ソング。
「れん、」
また思い出してしまった。
曲を変えよう。
そういえばこの前、紫耀におすすめされた曲、失恋ソングだったな。
聞いてみよう。
音楽が流れはじめた時、ガチャッとドアが開く音がした。
ドアの方を見るとそこに立っていたのは紫耀だった。
「かいと、」
「しょう、なんで？」
「永瀬先生に海人のところ行ってやってって言われた。」
「なんでここって分かったの？」
「教室から見えてた」
「あ、」
近づいてきた紫耀は、俺の事を抱きしめた。
「しょう、？」
突然の出来事に思考回路がフリーズしてしまった。
「大丈夫。海人には俺がいるよ？」
「しょ、どういう、？」
「海人のこと好きだ。俺が、お前のこと幸せにするから。俺と付き合え。」
俺の耳に流れている失恋ソングは最終的に、
違う人と付き合うエンドだった。
どうすればいいのか、俺には分からない。
俺は紫耀の背中に腕を回した。
Fin．
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作者名：月見ＵＳＡＧＩ | 作成日時：2021年2月14日 17時
