夕暮れを夜に染めて ２

１８、 ページ19

・目黒目線






静かな空間が広がる中、一人でグラスを磨いていると






　





カラン






緊張を増幅させるドアベルが、君が来たことを知らせてくれた








　






『いらっしゃい、康二』






なるべく自然な笑顔で、硬い表情をした康二を席へと誘導する






「舘さんとかは？」


『今日は康二のために貸し切り』


「え！？」


『って言いたいところだけど、たまたま休みの日にお店借りただけ」


「そ、そーなんか」






ちょっと嬉しそうな康二



やばい、今の可愛すぎて触りそうになった





マジで勘弁してよ、こっちも抑えるのに必死なんだからさ









『ふっかさんから話聞いた』


「…うん」






まあ普通にすれ違ってるんだよね、俺たち



でも、それを解決するためには








　






『まず、俺の話聞いて貰っていい？』


「……やだっ」




だよね、嫌な思い出掘り起こすことになる


翔太くんから過呼吸になったって話も聞いたし…






　




だけど、俺はこのまま終わるなんてできないよ








　


『お願い、聞いて』


「っ、」






カウンター越しに手を伸ばして、震えた康二の手を握った






ユラユラと揺れる瞳



怯えるように強張った頬






それさえも愛おしくて、抱きしめて閉じ込めたくなる








だけど今は我慢しないと



下手に触れて康二を傷つけたくないから






　





『俺の話聞いて、それから俺のこと


　俺たち2人のこと考えて欲しい』




「め、め」


『ダメかな？』







ズルイかもしれないけど、こう言えば康二は断れない



ほら、流されやすい性格だから






「そんな風に言われたら、頷くしか出来へんよ…」


『うん、ごめんね』


「意地悪…」





上目遣い禁止していい？


マジで可愛すぎて困るんだけど








…って、康二の可愛さは置いておいて



ちゃんと話さないと進まない








　


　


俺は一呼吸入れて、真っ直ぐ康二の瞳を捉えた






　





『3年前、俺は進路について家族と大喧嘩して、家出したんだよね_________________ 』

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