今日も壁越しで (ページ27)

今日:16 hit、昨日:25 hit、合計:192,877 hit

27 ページ27

樹くんを寝かして、お風呂に入り、様子を見にベットに行ってみようと思って、部屋に入った。

もちろん樹くんは爆睡してるはずだけど

「A……」

って言いながら涙を流していたのに気がついてしまった。

『ごめんね、樹くん、もう元には戻れないんだよ』

辛かった過去も、今となってはいい思い出なんだよななんて思って。

私強くなれたなぁなんて勝手に思ってた。

コンコンっ

いきなりノックされて、ビックリして、気のせいかなって思って、この感じ初めて話した時と同じ感覚だった。

蓮「長いあいだ待たせてごめん」

『ううん、大丈夫だよ』

なんてタイミング悪いんだ。

ベットでは樹くんが寝てるしあまりうるさく出来ない。

私にとっては話せなかった長い長い時間を埋めるように、たくさん話したくて、話を聞いて欲しくて、でも何から話したらいいかわかんなくて、あぁ、私やっぱり壁越しに話すお隣さんが大好きなんだなと気づいてしまった。

それと同時に、涙が溢れて

『会いたい』

って必死に訴えた。

「俺、昔迎えに行くって言ったんだよねその子に。小さい頃からずっとずっと待たせて、でも1人前になるまでいつか会える日が来るまで、頑張ろうって思えたんだ」