38 霜月隼 ページ38
『しゅーん』
隼「おやおや、僕のお姫様？どうかしたのかな？」
僕の名前を呼んだ愛おしいひとは、黒と白の綺麗な耳を持つ兎。真っ白な肌とその髪は僕と似ている。
『さっきから、何か音がしているんだけど…？原因を知ってるだろうと思って聞きにきたの』
隼「おや？ 始も同じようなことを言っていたね」
『…その顔は知っていて教えない顔ね』
ちょっと怒った顔だって可愛い。どうしようないくらい可愛い。
『…悪いことか、いいことか…だけ教えてくれる？』
隼「いいことだよ。僕と君と…それから始と…あっちの世界とこちらの世界の記憶がリンクしたんだ」
『…あっちの世界とこっちの世界…？』
隼「あっちの世界のお姫様は少しだけ悲しい思いをしてしまったみたいだけど、まあ…大丈夫。あっちの世界の僕がどうにかしてくれるからね」
頭にハテナを浮かべたままの彼女の手を取って僕は軽やかに歩き出す。
『…隼！？』
隼「そろそろお茶の時間かなと思ってね」
平和な日常。心の安らぎ。独りぼっちだった僕に、居場所をくれたこの世界に感謝している。
綺麗な花があったら、「綺麗だね」と共感してくれる人がいる幸せ。心が苦しくなったら、それを「苦しい」と伝えられる相手がいる幸せ。そして皆に訪れる死という概念が僕にもいつかは訪れるという事実。だから、僕はこの1秒を大切に生き抜くんだ。
隼「今日も愛おしいね、君は」
『…どんな言葉を返せばいいの？それ』
明るい笑い声が王国内に響いた。
fin
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 275人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
衣里(プロフ) - 初めまして、全作品読ませて頂きました、懐かしくて涙が出てきちゃいました、紅縁、スクレボ、サバコレぜひとも書いて欲しいです。これからも頑張ってください (2019年10月6日 7時) (
レス) id: a37957c804 (このIDを非表示/違反報告)
mel(プロフ) - みほさん» ありがとうございます。機会があれば書いてみたいなと思っていますが、円盤が出てからになるかと思います。申し訳ございません。 (2018年11月25日 19時) (レス) id: cd9818e417 (このIDを非表示/違反報告)
みほ(プロフ) - 初めまして。いつも楽しく読ませていただいてます。紅縁のストーリーを小説化してください。 (2018年11月24日 20時) (レス) id: 40d86cc87b (このIDを非表示/違反報告)
mel(プロフ) - ゆきさん» ありがとうございます！更新はゆっくりですがまた遊びに来てくださると嬉しいです！お待ちしております。 (2018年9月22日 17時) (レス) id: cd9818e417 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - melさんの作品全部大好きです。また新作の更新常に楽しみにしてます!!無理せず頑張って下さい! (2018年9月20日 23時) (携帯から) (レス) id: 11be993efd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：mel | 作成日時：2018年7月30日 23時
