26 霜月隼 ページ26
【世界の鍵】の気配を探して僕は絶望した。消えかけたその気配を探して世界を飛び回った。見つけた気配は僕を待っているようで…瞼が熱くなった。瞳から雫が落ちる。これが涙…？よく命が消える前にみんなが流していたものだ。僕がこれを流す日が来るなんて…思ってもいなかった。
『…隼…遅かったね…泣いてる…？』
彼女はその血に濡れた手を僕に伸ばした。頬に触れた彼女の手。もう消えかけている。…助からない。
隼「…いなくならないって…僕に言った…のに、僕を置いて行くの…？」
『…っ、隼…ごめんなさい』
君を責めたかったわけじゃない。君を悲しくさせたかったわけじゃない。僕の精一杯の我儘だった。
隼「…君のことが、大好きだった…」
独りぼっちだった僕に笑いかけてくれた君が。心配だと言ってくれた君が。ずっと僕のそばにいたいと思ってくれた君が。世界のどんなものよりも愛おしくて、世界のどんな言葉でも表せないくらい愛してた。
『…隼、また…会える…？』
君の優しい投げかけに僕は内緒でおまじないをかけた。いつか、君がまた僕と一緒に歩いていける運命が巡るように…と。
隼「…きっと…絶対だよ…また…会える」
『…そっかぁ…』
そう言って君の瞳は色を失った。何かが事切れたように僕の瞳から涙が溢れでて止まらなくなった。動かなくなった君の体を抱きしめて泣いた。
世界が不完全で争いや醜さに溢れていたとしても、懸命に生きる命はそれだけで愛おしい。僕もそんな命をそばで感じて生きてみたかった。世界の一部である僕が、たったひとつの命に特別な想いを抱いてしまった報いなのかもしれない。こんな感情は初めてだった。だからこの日生まれてしまった。僕の寂しさや孤独、虚無だけを持ってしまった闇の存在が…
僕はこの首に呪いをかけた。僕と始と、それから【世界の鍵】だけが使える呪いだ。虚無が暴走すれば、世界は闇に包まれる。だから…僕がこの身をもって自分の愚かさを償う為の呪いだ。
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衣里(プロフ) - 初めまして、全作品読ませて頂きました、懐かしくて涙が出てきちゃいました、紅縁、スクレボ、サバコレぜひとも書いて欲しいです。これからも頑張ってください (2019年10月6日 7時) (
レス) id: a37957c804 (このIDを非表示/違反報告)
mel(プロフ) - みほさん» ありがとうございます。機会があれば書いてみたいなと思っていますが、円盤が出てからになるかと思います。申し訳ございません。 (2018年11月25日 19時) (レス) id: cd9818e417 (このIDを非表示/違反報告)
みほ(プロフ) - 初めまして。いつも楽しく読ませていただいてます。紅縁のストーリーを小説化してください。 (2018年11月24日 20時) (レス) id: 40d86cc87b (このIDを非表示/違反報告)
mel(プロフ) - ゆきさん» ありがとうございます！更新はゆっくりですがまた遊びに来てくださると嬉しいです！お待ちしております。 (2018年9月22日 17時) (レス) id: cd9818e417 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - melさんの作品全部大好きです。また新作の更新常に楽しみにしてます!!無理せず頑張って下さい! (2018年9月20日 23時) (携帯から) (レス) id: 11be993efd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：mel | 作成日時：2018年7月30日 23時
