11 弥生春 ページ11
少し遠くを見つめていたAちゃんの瞳。リラックスにはハーブティーがいいかな?なんて考えながらティーカップを準備した。
春「はい、ハーブティーだよ。少しはリラックスできるかな?」
『あ、春…ありがとう』
いつもよりメイクの濃いきれいな不安げな瞳が俺を見上げる。ああ、どうしてそんなに不安そうな顔をするんだろう。俺たちは変わらずにここにいるのに…
春「始が少し遠くに感じた?」
『春にはわかっちゃうんだね。馬鹿みたいだけど、そんなふうに感じちゃった』
春「俺たちの王様はいつもみんなのことを考えてくれてるよ。特に、Aちゃんのことはすごく考えてくれてるよ」
『…そっか。ねえ春?』
ハーブティーに少しだけ口をつけたあとに、彼女が俺の名前を呼んで真っ直ぐに俺を見つめてくる。大きな瞳がほんの少し悲しみに揺らいだ。
『…わたしは始の、負担になってない…かな?』
紡がれた声はいつもの彼女から想像できないほど小さかった。だけど、その真剣に聞かれた内容があまりにも…わかりきった質問すぎて俺は笑いを零してしまった。
春「ふふ、どうしてそんなこと真剣な顔で聞くかな?」
『…ひどい、春。馬鹿』
春「ごめんごめん。だけどあまりにもわかりきった質問をそんな真剣な顔でするからさ…」
俺はAちゃんの向かいにある椅子を引いてそれに座った。目線が同じになって彼女の表情がよく見える。
春「負担になってるのだとしたら…まずは俺にAちゃんのお目付役の任務がくるだろうね。それに始は好んでここにAちゃんを置いてる。心配で心配たまらないんじゃないかな?」
思わずまた笑みが溢れてしまって、さらに彼女のほっぺが膨らむ。可愛いなあ…こういうところもきっと放って置けないんだろうな。
春「さ、少し落ち着いたところで…大忙しだよ!舞踏会の準備」
お茶を飲んでいた手がピタリと止まり、急いで椅子を引いて逃げようとするけど今日は豪華なドレスを身につけてるから思うようにいかない。俺が立ち上がって手を取る方が早かった。
春「さ、行こうか?」
『春の鬼〜!!』
275人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
衣里(プロフ) - 初めまして、全作品読ませて頂きました、懐かしくて涙が出てきちゃいました、紅縁、スクレボ、サバコレぜひとも書いて欲しいです。これからも頑張ってください (2019年10月6日 7時) (レス) id: a37957c804 (このIDを非表示/違反報告)
mel(プロフ) - みほさん» ありがとうございます。機会があれば書いてみたいなと思っていますが、円盤が出てからになるかと思います。申し訳ございません。 (2018年11月25日 19時) (レス) id: cd9818e417 (このIDを非表示/違反報告)
みほ(プロフ) - 初めまして。いつも楽しく読ませていただいてます。紅縁のストーリーを小説化してください。 (2018年11月24日 20時) (レス) id: 40d86cc87b (このIDを非表示/違反報告)
mel(プロフ) - ゆきさん» ありがとうございます!更新はゆっくりですがまた遊びに来てくださると嬉しいです!お待ちしております。 (2018年9月22日 17時) (レス) id: cd9818e417 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - melさんの作品全部大好きです。また新作の更新常に楽しみにしてます!!無理せず頑張って下さい! (2018年9月20日 23時) (携帯から) (レス) id: 11be993efd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:mel | 作成日時:2018年7月30日 23時