【 ツキウタ。】24時間シュンデレラ

ドラマのキスシーンの再現を ページ18

海「A〜」


『ん〜？』




隼の部屋のベッドの上でゴロゴロしたいたら、海がドアを開けて「隼のドラマ始まるけど見なくていいのか？」と聞いてきた。ドラマの主演を務める当の本人様は、ドラマの終わりに帰ってくるか来ないからしい。プロセラの共有ルームにはみんな勢揃いらしく、ドラマを見るとのこと。




『あー、今日はいいかな』


海「珍しいな。毎週楽しみにしてただろ？いつもと違う隼みるのが楽しいって」


『あはは、そうなんだけどね…』


涙「今日はキスシーンあるもんね」


『……』




涙が海の傍からひょいと現れて、わたしに言っていった。海が「あ〜、なるほど」と言ってドアを閉めようとしたが『行きます』と言って見栄を張った。




海「意地はって後悔するなら見ないほうがいいぞ」


『ドラマの中の彼女は隼の彼女じゃないもんね』


海「まあ、そうだけど…」




わたしはテレビから一番遠い共有ルーム出入り口付近に座った。ドラマが始まれば内容はやっぱり惹きつけられるものだし、隼が演技をしてるのはなんか楽しいしおもしろい。いつもと違いすぎるから…場面はいいシーンに近づいていく。




【 僕は君を愛してる 】




いつも隼が言ってくれるような言葉をドラマの中の隼が言ってる。女優さんとの距離が近づいている。目を瞑ればいいのに見てしまう。引き寄せられる。




「僕が愛しているのはAだけだよ」




ふわっと香る優しい香り。普通の人より少しだけ低い体温。見慣れた白い髪はいつもより少し乱れていて、優しく笑った瞳と唇に残る柔らかな感触。




海「あー、A…って隼、いつ帰ったんだ」


隼「ああ、みんな僕のドラマ見てくれてたんだね。どうだった？」


『…っ、』




隼は何事もなかったかのように振り返り、みんなと話をしていた。


女優と近づいていったところまでは見えていた。その瞬間に隼が視界を遮って…




隼「ヒヤヒヤしたよ。珍しく走っちゃった」




隼はそう言ってわたしの横を通り過ぎて部屋に戻っていった。




『キスシーンどんなだった？」


海「え？お前、見てなかったのか？」


『…隼が、リアル隼が…視界を遮ってきました』


海「え？」


涙「隼がAにキスしたんだよ」


海「ああ、そうなのか…って、えええーーー？いつの間に！？」




霜月隼は最近、王子様です。

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