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(…オッパに頭撫でられるの、好きだなあ)
安心感のある、私よりも大きな手。頭からじんわりオッパの体温が伝わってきて、何ともいえない幸せな気持ちになる。
「…あのー、Aさん?立ったままうとうとしないで?」
「う〜ん…」
「せめて着替えてから寝ようね」
「めんどくさい〜…オッパ、服脱ぐの手伝って〜…着替えさせて〜…」
私の頭を撫でていたオッパの手がぴたりと止まる。
「……………」
暫しの沈黙。
「………ぅぅううう痛い痛い痛い!ほっぺひっぱるのやめてーーー!!!」
「Aー!起きて!ちゃんと着替える!で、ご飯食べて、お風呂に入ってから寝なさい!!」
「ひゃい!!すみませんでした!」
ダラダラしすぎていたことがオッパの逆鱗に触れてしまったのか、突然ひどく叱られてしまった。
「…俺の気も知らないで好き勝手暴走するのやめてください」
「?わかりました」
「絶対分かってないね」
「???」
「もういい、早く着替えてこないとご飯食べさせてあげないよ」
「やだ!お腹ペコペコだもん!いますぐ着替えてきます!」
着替えるために急いで自室に飛び込む。着替える前にちらっとリビングの方を向くと、オッパがソファに座ったまま頭を抱えて、ため息をつきながら何やら独り言を言っていた。
ごめんなさい。出来の悪い子でごめんなさい。心労をお掛けします…
早くオッパに迷惑かけることのないような、立派な大人にならなきゃ!と思いつつ、オッパの作った料理に舌鼓を打ち、オッパの沸かしたお風呂に浸かり、オッパが干してくれたふかふかのお布団で眠りに就いた。独り立ちは、暫くできそうにないかも。
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作者名:ann x他1人 | 作者ホームページ:https://plus.fm-p.jp/u/meltydaisy
作成日時:2023年6月10日 18時