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「ねぇ、マシュー。そんなに心配しないで。俺はマシューのものだよ。…大好き。誰よりもマシューが好き。マシューが思っている以上に、俺はマシューのこと好きだよ。絶対。……ねぇ、信じて」
ゆっくりと顔を上げたマシューの目には涙が浮かんでいた。親指の腹で拭ってあげると、照れくさそうにはにかむ。そして、小さな声で言う。
「……ありがとうございます。ヒョン、だいすき」
そう言って首に手を回してきた彼を受け止め、そのまま優しく押し倒す。至近距離にある顔をまじまじと見つめれば、俺だけを映す大きな瞳に吸い込まれそうになる。そのまま唇を重ねようとしたその時だった。
「ヒョン、待って!」
突然発せられた制止の言葉に動きを止める。何か気に障ることをしてしまったのだろうか。不安になりながら見下ろすと、マシューは顔を真っ赤にしながらもむっとした表情を浮かべていた。
「質問に答えてください……!嫉妬、してくれましたか?」
「え?あー、えっと……」
真っ直ぐ俺を射抜く視線に少しだけ怯んでしまう。嫉妬していたかしていないかと言えば、間違いなく前者だ。けれどそれを伝えるのは何となく気恥ずかしくて言い淀んでいると、痺れを切らしたらしい彼が口を開いた。
「答えないならキスしません!」
ぷいとそっぽを向いてしまった彼の姿に苦笑いする。どうやらお怒りのようだ。仕方がない。ここは正直に言うしかないだろう。
「…うん、嫉妬したよ。めちゃくちゃ嫉妬した。俺のマシューなのに、ハオヒョンはくっつきすぎだって思ってた」
さらりと髪を撫でながら伝えると、マシューの顔がみるみると赤く染まっていく。
「ほんとですか…?」
「本当だよ。こんな嘘つくわけないじゃん」
「……嬉しいです」
こちらを向きふわりと花のような笑顔を浮かべながらそう言われ、きゅっと心臓を掴まれたような心地になる。愛おしさが溢れ出して止まらない。衝動のままにぎゅーっと抱きしめると、背中に手が回って同じように抱きしめ返される。
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作者名:ann | 作成日時:2023年5月31日 22時