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「ごめん、泣かないで」
「すみません……っ」
僕の気持ちもヒョンに伝えたいのに、嗚咽のせいで上手く言葉にならない。
「マシューも、話したいことがあるんでしょ？…ゆっくりでいいよ。ちゃんと聞いているから」
そう言って頭を撫でてくれるヒョンに甘えて、僕は必死に言葉を紡いだ。
「僕、僕……、もっと、たくさん、ヒョンに触れてほしいんです。キスだけじゃ、足りなくてっ…」
「うん」
「ヒョンのことが、好きです。好きで、本当に大好きで……どうしたら良いのか分からないくらい、好きすぎて苦しいです。もっといっぱい、ヒョンに触ってほしくて…っ、でも、ヒョンの負担になりたくなくて、言えなかったっ……」
「…そっか」
「僕……、わがままかもしれないけど、ヒョンともっと一緒にいたいです…。ヒョンに、愛されたいです…」
「…分かった。全部、聞かせてくれてありがとう」
「……変態だって、思いましたか？ヒョンに抱かれたくて、こんなことばかり考えてる僕のこと、嫌いに…」
「ならないよ。マシューのこと、嫌いになるわけがない」
ヒョンは僕の不安を吹き飛ばすようにきっぱりと否定してくれた。その優しさが胸に染みて、また涙が溢れてくる。
「ヒョン……うぅっ、ぐすっ」
「もう…いつからそんなに泣き虫になったの、マシュー」
「ごめんなさい……っ」
「謝らないで。マシューの気持ち、よく分かったよ」
ヒョンが笑いながら僕の目尻に溜まった涙を指先でやさしく拭ってくれる。ああ、幸せだ。この人が好きだ。ヒョンのことが心の底から好きだと思った。
「……ヒョン、大好き。愛してます」
「俺も大好きだよ。愛してる」
ヒョンの目を見て伝えると、優しく微笑み返してくれる。そのままどちらからともなく唇を寄せ合って、触れるだけのキスをした。たったそれだけなのに、身体中が幸せで満たされていくような感覚がして、もっともっと触れ合いたいと思ってしまう。
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作者名：ann | 作成日時：2023年5月31日 22時
