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「ジウニヒョン。ちょっと相談したいことがあるんですけど…」
グループ全体でのダンスレッスンが終わり、荷物を纏めて宿舎へ戻ろうとしていた時だった。後ろから控えめな声量で呼び止められ振り返ると、普段の太陽のような笑顔はどこへやら。眉を下げ、困ったような表情を浮かべたマシューがいた。その様子に首を傾げながら彼の元へと歩み寄る。
「どうした？何かあった？」
ダンスのことで何か気になるところでもあったのだろうか。もしそうなら俺よりも適任がいるはずだけど……などと考えつつ訊ねた。
「えっと…その……」
言いづらそうにもごもごと口を動かすマシューの様子を見て、他のメンバーには聞かれたくない話なのかと思い至る。俺は周りを見渡して誰もいないことを確認すると、少し屈んでマシューの顔を下から覗き込んだ。
「大丈夫だよ。誰にも言わない」
安心させるように微笑みかけると、ようやく決心がついたのか、マシューは小さく息を吐いて真っ直ぐこちらを見た。
「あの……笑ったりしないでくださいよ」
「もちろん」
真剣な眼差しでしっかりと首を縦に振る。それを確認したマシューは再び視線を落とすと、おずおずといった様子で切り出した。
「実は……」
「うん」
「…………最近、ハンビニヒョンが全然抱いてくれないんです」
「……ん？」
……今この子はなんて言ったんだろう。抱くってなんだっけ。いや違う、意味は分かるんだけど。あれだろ、性行為的な意味で合ってるよね？
「……なんて？」
あまりの内容に思わず聞き返してしまった。そんな俺の反応を見て、マシューはかぁっと赤く染めて言葉を続けた。
「だっ、だから！ヒョンが全然僕を抱いてくれなくて！」
「ちょ、ちょっと待って！！」
慌てて両手を前に出してストップをかける。突然の爆弾発言についていけない。混乱している頭の中で必死に整理しようとするものの、上手くまとまらない。とりあえず落ち着こうと大きく深呼吸をして、改めてマシューを見る。彼は真っ赤になった顔を俯かせいじりいじりと指先を動かしていた。その姿からは恥ずかしさがありありと感じられ、こっちまで照れ臭くなる。
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作者名：ann | 作成日時：2023年5月31日 22時
