ぐっどないとまじっく ページ3
何となく眠る気になれなくて夜も更けてきた午前1時に城を徘徊する。こんな深夜に出歩くのもおかしいとは思うがここは我々国だし、私はここの軍人だしオマケに幹部ではあるから別にとやかく言われることはない。まぁトントンくらいは「はよ寝んかい」とおかんみたいなことを言ってくるけど超特大ブーメランだし無視してるようなもん。トントン今何徹目やっけ。3？恐らく徹夜で仕事中であろうトントンの部屋の近くを通るのはどこか気が引けて進む方向を変える。
代わり映えのない城の中に飽き飽きして今日は城の外を散歩している。残暑も落ち着いてきて夜中に薄手の長袖1枚では中々寒くなってきたものだ。冷たく吹き付ける夜風に身震いをしつつ中庭まで足を進める。中庭には座れる場所があるからぼーっとするにはもってこいだ。
ベンチに腰を下ろして上を見上げると丁度彼奴らの部屋が見える。もちろん私の部屋も。私の部屋も含めて大半の部屋は灯りが消えていて電気の光が漏れているのは本でも読んでいるのかコネシマの部屋だけだった。あんな読書とは無縁そうな見た目のくせして読書家なのはだいぶ違和感がある。
しばらく電気のついたコネシマの部屋を眺めていたがついにはここも電気が消えた。そんなに時間経ったか？と思い液晶端末を見るとデジタル時計は午前2時を示していた。流石にまずいと思いベンチから立ち上がり踵を返して来た道を戻る。
まずいとは思うものの特に急ぐこともなく割とのんびり、と言うよりかはノロノロ歩く。頬を撫でる夜風は先程より冷たさを増していてそろそろ身震いどころではなくなってきた。鼻をすすり薄手の長袖1枚で来たことを後悔しながら思い浮かんできたのはトントンの顔。こんな格好で夜中に出歩いてるのバレたらまた小言言われるんやろうな、と思いトントンの部屋を見上げてみる。
「あれ、電気ついとらん」
視界に飛び込んできたのはしっかりカーテンが閉められている暗い部屋。カーテンの隙間から電気の光が漏れている、なんてこともなく真っ暗だ。見間違いかと思って指で部屋の場所を数えてみても右から2番目のトントンの部屋で間違いなかった。
「はえー...珍しいこともあるもんやな...」
いつもなら3徹如きでギブアップすることはないのに珍しいなぁと思いながら今度こそ部屋に戻る。なんか最近忙しそうやったし余っ程疲れてたんかなトントン。
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作者名：いちのせ | 作成日時：2024年3月7日 4時
