【d!】夢日記。 (ページ19)

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｢…せや、最近思ったんやけどさ｣
｢…何｣

先程の胡散臭い声のトーンではなくワントーン低い声で切り出すチーノ。ただならぬ空気を感じて思わず身構える。

｢最近自分がおかしいと思わないん？｣
｢…おかしいって、何が｣

何が、と聞いてみるけど心当たりはある。連日の夢で見たことをあたかも現実かのように話していることだろうと察しがつく。…それだけなら別に何とも思わないがどこか圧を含むチーノの空気に気圧される。

｢何がって自覚ないん？｣
｢いや、ないわけちゃうけど｣
｢何しらばっくれようとしてん？ほんまおかしいで最近、｣

胡散臭いやつやけどここまで私に対して捲し立ててくるようなやつちゃうし正直怖いのか本音。チーノに対して怖いとか思ったことないねんけどこいつの方がおかしない？と思いつつ冷や汗が滲む。

｢何とか言ったらどうなん？｣

視界がぐるぐるしてきて返答どころではない。また何か言うとるけど聞いてられへん回る視界に思わず俯く。冷や汗が止まらないし耳鳴りもしてきてチーノの声がよく聞こえない。
耳を塞いでしばらく目を瞑ってようやく落ち着いてくる。チーノに抗議でもしようと思って顔を上げたらそこにいたはずのチーノがいない。

｢…は、｣

異常な状況に滲んでいた冷や汗が頬を伝う。窓の外では雷雨が降り続いていて停電した部屋は暗いまま。

──────────

｢…ゆめ、｣

ゴロゴロ鳴り響く雷の音で目を覚ます。雷の音で目を覚ましたというよりかは悪夢を見て飛び起きたのが正しいけど。異常なほど冷や汗をかいていて呆然と自分の手をひらを見つめる。
夢を見ていた自覚はあるしあんなに異常な状況が現実なわけがない。それなのにやたら現実だと錯覚してしまうし夢の光景がやたらとリアルだった。
とりあえずシャワーでも浴びて頭冷やそ…。