想定外 ページ19
そんなこんなで歩いていたら、自宅付近のコンビニが見える。
そういえば、さっきの取材でペンのインクが切れたんだった。
明日の出勤前に買ってもいいけど普通に忘れてしまいそうだし、ここまで送ってくれたテヒョンにひと声かける。
「テヒョン、ここまでで大丈夫。ありがとう」
TH「ん、わかった！変な人には気をつけてね」
「はいはい」
本当に気をつけるんだよ！？って何度も振り返りながら言ってくるテヒョンに手を振る。
彼の背中が見えなくなって、やっとコンビニに入ったときだった。
JK「あれ？もしかして……ハナさんですか？」
「……えっ、あ！じょ、ジョングクさん！？」
JK「奇遇ですね。こんな時間にお会いするなんて」
まさかまさかのチョン・ジョングクだった。
真夜中ということで出歩く人も少ないからか黒のバケハを被るだけで、お昼にあった時みたいなサングラスやマスクはしていなかった。
いや、どんだけ遭遇するの？
そう思っていると、チョン・ジョングクはお湯を入れてすぐのカップ麺を持ちながらこっちに来た。
……え！？来なくていいんだけど！？
JK「ハナさん、お昼のときと雰囲気全然違いますね？どこか行ったんですか？」
「あ、えっと、仕事関係のパーティーに参加してまして……あはは」
JK「へえ……こんな時間まで。お疲れ様です」
にこっと笑いながら話しかけてくるチョン・ジョングク。
お昼にあったときはソクジンさんもいたので何とかなっていたけど、今は二人きり。店員さんはバックヤードに下ってしまった。
「じょ、ジョングクさんはどうしたんですか？こんな時間にカップ麺なんて」
JK「俺もさっきまで仕事してたんです……って、そうだ！ハナさんは俺のこと、ホントに知りませんか？」
チョン・ジョングクは、こてん、と首を傾げた。
これを素でやっているのなら、なんとも恐ろしい。だってあざとすぎるんだもの！
「えっと、あ、もしかして……あの話題のドラマに出てる俳優さんですか！？」
私は今気づいたかのような反応をする。
だってバカ正直に「ハイ知ってました！」と言っても、シラを切ったとしても、後々苦しくなるのは私だ。
JK「は？え？今気づいたの？」
「ごめんなさい……何か見たことあるなあ、って思ったんですけど、どこで見たか思い出せなくて」
JK「ああ、いや全然いいんですけど」
ちょっと拍子抜けした様子のチョン・ジョングクを見て、私の回答が間違っていないことを確信した。
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作者名：ゆりこ | 作成日時：2022年10月12日 12時
