9話 ページ9
朝早くになぜむさくるしい男の声、さらにはかっこよくもない鼻声を聞かなければならないのか。
普段なら無視するそれに出たのは単なる気まぐれでもなければ、かといって、快く出ることが出来るものでもなかった。
「あのなぁ、キヨくん。俺謝んなきゃいけないことあって...。」
思った通りの内容で、二人の関係でも告げられるのかと心を決める。昨日、見たし。
「俺キヨくん応援出来ない。好きやわ、Aちゃんの事が。だからさ、キヨくんから奪い取るわ。」
ほんとごめん、と聞こえたか細い声。
「レトさんにAが振り向けばの話だな、こちとら同棲だぞ！鼻声治してからこいや」
そう冗談めかして笑うとレトさんは鼻声じゃないわ美声だわと笑っていた。
自分で言うのもなんだが、お互い喧嘩をしたかった訳でもない。
俺が怒らなくて安心しているのだろう。
「じゃあこのままラジオとろ、そろそろでしょ？」
2人が付き合っていないことに安心し、同時に2人の幸せを喜べない自分に嫌気がしつつもこの時の俺はハイテンションだった。
△
「俺北海道いくなら富良野がいい。」
全身ラジオでレトさんが放った一言。
だって、ラベンダーの匂いが好きだから───。
今、俺は思いもよらないところでその匂いに気がついた。ここ数年、変化がなかったそれが急に変わったら気が付かないのがおかしい。
「次風呂いいけど。」
バスタオルで髪をわしゃわしゃと呑気に、何も知らずに、いや知っているから変わったのか。
バニラの香りはラベンダーの香りとなった。
俺が好きなバニラは、ラベンダーにかき消された。
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姫凪(プロフ) - ゆるさん» コメントありがとうございます、そう言っていただけると頑張れます！これからも読んでいただけると幸いです！ (2018年8月10日 18時) (
レス) id: 439f1af016 (このIDを非表示/違反報告)
ゆる(プロフ) - 続き気になりすぎます…！！！更新楽しみにしてますね！無理のないペースで頑張ってください！！ (2018年8月10日 17時) (レス) id: 1e43dca40b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：姫凪 | 作成日時：2018年8月10日 0時
