【ハイキュー】可愛くなれたら＊及川徹 (ページ4)

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今度のホームルームで使うから、と渡されたのは大量のプリント。
5枚ずつ纏めてホチキスで止めてほしいと先生に頼まれた。
さすがにひとりじゃこれは無理だなと思った私は部活で忙しい及川くんに無理を言って頼んでみたところ、「全然やるやる！てかまた1人でやろうとしてたの！？俺ダメって言ったよね？」と説教をくらってしまった。
放課後の空き教室にはパチンパチンとホチキスの音が鳴り響いている。
及川くんは鼻歌を歌いながらひとつひとつ丁寧にプリントをまとめていた。
｢あの、及川くん｣
｢ん〜？｣
｢部活あるのに頼んじゃってごめんね｣
｢いいってー、それに月曜は部活休みだから！｣
｢あ、そうなんだ｣
及川くんは優しい、きっとみんなこういう優しいところが好きなんだろうな。
あとは普段はヘラヘラしてるけどこう見えてすごく努力家だ。
コソッと部活を見に行った時も普段とは違う顔にドキドキした。
2人きりのこの時間が続いてくれたらいいのに、なんて願いは叶うことも無くあっという間に作業は終了した。
｢さーて帰るべ！｣
｢今日はありがとう。またね、及川くん｣
｢へ？ちょっとちょっと！送ってくって！｣
｢え！？い、いいよ大丈夫！｣
｢俺がよくない！｣
｢えぇ…｣
及川くんの勢いに押されて断れなかった。
でも一緒に帰れるのは嬉しい。
まさか並んで帰れる日が来るとは思ってなかった。
こういう時に何を話せばいいのか、経験のない私には全くわからない。
｢Aちゃん好きな食べ物は〜？｣
Aちゃん？
及川くんは私の事を苗字で呼んでいるはず。
｢どうかした？｣
｢え、いや、名前…｣
｢あー、嫌だった？｣
｢ううん、嫌じゃないよびっくりして｣
｢よかった〜！まっつんが名前で呼んでるなら俺も名前で呼びたいからね！｣
まっつんとは松川くんの事だろうか。
どうして今松川くんの名前が出てくるのか不思議だ。
｢んで？好きな食べ物は？｣
｢うーん、オムライスかな｣
｢へー！いいねオムライス！オレは牛乳パンが好き〜｣
知ってるよ、毎日食べてるもんね。
｢俺美味しいオムライス屋さん知ってるんだけど、今度一緒に行かない？｣
｢……え、い、行きたい！｣
｢ほんと！？やった！じゃあ連絡先交換しよ〜！帰ったらオフの日連絡すんね！｣
私の携帯の連絡先に新しく｢及川徹｣という文字が追加される日が来るなんて。
私を無事に家まで届けてくれた及川くんは鼻歌を歌いながら来た道を引き返して行った。