【ハイキュー】可愛くなれたら＊及川徹 (ページ1)

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私の好きな人は容姿端麗で、スポーツもできて女の子からはモテモテで。
周りにはいつも可愛い女の子たちがいる。
地味な私と違ってキラキラしててお花みたいなオーラを纏った女の子達。
その中に私なんかが入って行けるわけがない。
だから興味ないフリをするの、自分が傷つかないように。

高校3年生、今まで付き合った人は中3の頃にたったの1人、それもあとから聞けば罰ゲームだったんだとか。
悲しかったと言えば悲しかったけど、それを知った親友は私以上に怒っていたからもうどうでもよかった。
そして忘れもしない高校の入学式、後ろからぶつかられた勢いでメガネが落ちてしまった。
ぶつかった事に気づいていないのかその人は足早と去って行った。
小さくため息をついてメガネを取ろうとしゃがむと私よりも先にメガネに手を伸ばす人がいた。
「はい、大丈夫？」
「……あ、ありがとう」
「いーえー。あ、君メガネない方が可愛いんじゃない？」
「え？」
「メガネもいいけどさー」
顎に手を当てながら考える仕草をするこの男の人から目が離せなかった。
「おい及川！何してんだ置いてくぞ！」
「待ってよ岩ちゃん！あ、じゃあもう行くねバイバーイ」
手を振り颯爽と消えていった。
あの日私は及川くんに恋してしまった。
この3年間誰にも言わずにこの気持ちは隠している。
もちろん本人にも。
3年生の1学期、初めて及川くんと一緒のクラスになれた。
「じゃあ学級委員決めるぞー、立候補はいるかー」
先生から目を逸らすクラスメイトたち。
「……やっぱそういうちゃんとしたのはAさんじゃないですかー？」
女子のひとりがそう言うと周りの子達もうんうんと頷いている。
「そうだなぁ先生もAなら安心して任せられるな、どうだ？A」
私なら断らないと、断れないとクラスの子も先生も知っているのだろう。
「……はい、わかりました」
断れない性格、嫌なことも嫌と言えずいつも言いなりのようになってしまう。
こんな自分が嫌いだった。
「じゃああともう1人誰かいるかー」
きっと誰も手なんかあげやしない、それも私とペアなんかじゃ。
「はいはーい！俺やるやる〜！」
耳に聞こえてきたのはずっと想ってきた人の声だった。
「おー及川、部活してるけど大丈夫か？」
「大丈夫です！」
何かの間違いなのではと思った。
目が合うとピースサインを向けてくる笑顔を私は無視してしまった。