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今日は、りょうくんと一緒に撮影見学に行くはずだった。けど昨日の夜ネットで良さそうな物件を見つけて、不動産屋さんに連絡したら明日見に来ませんかって言われてしまった。りょうくんには用事ができたって言って、逃げるみたいに家を出た。別に隠すことじゃないのにね、わたしばか。
そして今駅前の私の前に神様が現れたあの不動産屋さんの前でため息をひとつ。
いい物件だったら契約しなくちゃ。
でも出ていくのはさみしい。
わがままだなぁってりょうくんに言われちゃう。なんか私らしくないなこんな落ち込みモードなの。ゆめまると会ったあの日から、気持ちはずるずる落ち込んでるし、夜な夜な物件探ししてたから寝不足だし、りょうくんにも元気ない?って心配されちゃうし。
別に会えなくなるわけじゃないのにね。うん、そうだ。でもりょうくん忙しいし、一緒に住んでるから辛うじて会えてたみたいなところあるし、だめだ何考えてもマイナスになっちゃう。
ふと時計を見れば、不動産屋さんと約束の時間が迫っていて、諦めた私は店内へと続く自動ドアの前に立つのでした。
「いらっしゃいませ」と店員さんが迎えてくれる。こちらへどうぞと引いてくれた椅子に座ろうとしたその瞬間。
何が起きたのか一瞬わかんなかったけど、身体ごとぐって引かれてふりむけばりょうくんがいた。
「ちょっと待った」
私も店員さんも固まってる。りょうくんが店員さんに、ごめんなさい全部キャンセルでって言ってる。あの、えっと、ほんとにどういう状況ですか???
気付いたらりょうくんに連れられてお店を出ていて、あっという間に車の助手席。
「りょうくん、これは一体」
「それはこっちの台詞」
「だって…居候だからいつかは出ていかなくちゃだめだなって思って」
「何も言わないで出て行く気?」
「お部屋が決まったら言おうと思ってたよ」
「A」
「ごめんね」
りょうくんが来てくれたのがうれしくて、涙が出そう。ていうかもう泣くよこんなの。かっこよすぎ。泣いてる私になんで泣く?泣かないでよって言って頭を撫でてくれるりょうくん。もうだめだ。涙止まらない。
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花(プロフ) - ななさん» 温かいお言葉ありがとうございます!拙い文章ではありますが、続けて書いていけるように頑張りたいと思います! (2019年4月23日 23時) (レス) id: 20c6cc5c87 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 初めまして!素敵な読み物ありがとうございます(*'▽'*)これからも作者さんのペースで投稿待ってます…! (2019年4月22日 19時) (レス) id: 52db76b921 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花 | 作成日時:2019年4月13日 20時