X.Y.Z.【松田陣平】

＊20_高校編事件 ページ21

｢あれ、理科室何階だっけ｣
｢5階だよAさん｣


ありがとう、ついてこなくて大丈夫だよ！と男子生徒に声をかけたが、もし何かあったら連絡する係になると言ってくれたので気にしないで階段を駆け上がる。


5階に到着して、辺りを見回すと音沙汰もなく静かだった。あれ、と思った矢先。


手前の教室に引きずり込まれた。咄嗟にポケットに入ってたお気に入りのリップを投げる。



握りしめていた携帯が落ちて、踏みつけられてしまった。



不味ったな、騙された。



A A 。変な人に好かれる女である。




・





｢貴方の目的は。｣
｢Aさん、告白の返事。まだでしょ？｣



ニッコリとこちらを見つめてくる視線が正直気持ち悪い。告白の返事にここまでやるか？？



｢Aさん、のらりくらり誤魔化しそうじゃん｣
｢あちゃ〜バレちゃってたか。ごめんね。気持ちは嬉しいけど、今は私、、恋愛に興味はなくて、、｣

｢松田陣平。あいつ、父親が逮捕されたことあるんだってね。｣


それ、関係ないよな。率直にそう思った。この男、もしかしたら相当松田が気に食わないのではないか。松田なんかしたんか。いや、してないだろうなぁ。多分、私を好きになったものの松田が邪魔だったから、完全に松田はトバッチリ。



【⠀私がちょっと困ったくらいに変な人に好かれる、これはこいつが始まりであった。と今では思う。⠀】



ここで言い返してこいつを刺激したらダメだ。私のこの状況はあまりにも不利である。


｢告白の返事、したから離してください｣
｢付き合って欲しいな、そしたら松田の喧嘩も止めてくる｣
｢松田にちょっかいかけてたの貴方だったのね｣
｢うん、告白受け入れて欲しくて｣



頭がおかしい。こんな状況で告白を受け入れてもらえるわけなかろう。何も持ってない様子を見ると、私に危害を加えるつもりはない。松田を使って脅すことで私が言いなりになると思っていたのだろう。




｢付き合ってくれる？｣




狂ってる、そう思いながら後退りした瞬間。相手に肩をドンッと後ろに押されて、尻もちをつく。咄嗟に出た手が上手くつかなかったため、そのまま捻ってしまった。




最悪だ。





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