X.Y.Z.【松田陣平】

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「あ、諸伏くんだ。」


休憩時間、空港のコンビニで軽く間食を済ませようと外に出ていたところ、スーツを着た諸伏くんを見かけた。お仕事で来ていたら申し訳ないな、と思い、声をかけるのを躊躇ったが、こちらの視線に気づいたのか目が合ってしまった。目が合ったから控えめに手を振ると、駆け寄ってきてくれる。


「Aさん、お仕事休憩中？」
「諸伏くん、お疲れ様！そうなの、諸伏くんはお仕事じゃないの？」
「うん、長野に住んでる兄が東京に来るから待っているんだ」


そうなんだ、ちょうどお昼の便に乗ってくるのか。と頭の中で長野からのスケジュールを思い浮かべる。嬉しそうにお兄さんの話をする諸伏くんに、こちらも嬉しくなる。私もこの前、千速さんと久々にお茶をしたときは、興奮で話が止まらなかった。きっと、諸伏くんもお兄さんにたくさん話したいことがあるのだろう。


「お兄さん、もうそろそろ到着だと思うのでおかけになってお待ちくださいね！」
「あっ、休憩中にごめんね！」


自分が浮かれていることに気づいたのか、照れる仕草をして諸伏くんは、
お仕事モードのAさんかっこいいね、なんて残して去っていった。





・




「A！さっきのイケメン何？！」
「友達だよ。」
「ちょっと、あんたいつもはぐらかして！」



まさか、同期に見られてたとは。揺さぶられながら、そういえば。ストーカー事件の送迎も最寄りの駅からお願いしていたし、職場で幼馴染や諸伏くんたちと会うってことはなかったかもしれない。
興奮した同期が、そういえばあんたの幼馴染、警察官だよね？合コンしない！？なんて無茶ぶりを言い出し、勢いに負けた私は心当たりありまくりな萩原に連絡した。



(件名)萩原 合コンのセッティング頼む




同期、完全に諸伏くんが彼氏だと思い込んでいる気がする。すまない、諸伏くん。巻き込まれてくれ。





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