memory of nobody knows (ページ10)

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十．ページ10

休時間。
芹雫は屋上のフェンスに立って景色を眺めていた。
彼女が目を閉じると、そよ風が吹いて彼女のサラサラな髪を揺らした。

「……気持ち良いな……」

そのまま量腕を広げて電線を伝って歩いていく。
他生徒達は、パフォーマーを見てるようだ。
その中には、テニス部R陣もいた。
芹雫はみんなの視線を気にすることなくゆっくりゆっくり歩いていく。
その時、芹雫はハッとした瞬間にバランスを崩して落ちていった。
他生徒達は悲鳴をあげたり騒いだりしていた。
しかしその中、赤也だけは少しだけ落ち着いていた。
何せ赤也は昨日、芹雫の落ちる様子を見たからだ。
芹雫の周りから、紅葉椛が現れ、芹雫みんなの向いてる反対方向に立っていた。
そして右手でピースをして「イェーイ！」と言った。
生徒達は、驚きと感激の歓声をあげた。

「すげぇ！！」
「あいつマジシャンだ！！」
「カッコいい……！！」

みんな次々と芹雫を褒めていく。
芹雫は恥ずかしそうに後頭部辺りに手をやった。

「えっと～……それじゃ！！」

芹雫は少し強い風と共に椛を散らしてその場を去った。
残された生徒達は、颯爽と去っていった芹雫に唖然としていた。

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