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九. ページ9

3年D組。
このクラスは、転校生が来るということで持ちきりだった。

「どんな子だろ?」
「綺麗な子とか来るかな?」
「可愛い子とか?」

みんな口々に言っていく。
そこへ先生が来て、話は一旦終わった。

「今日は転校生が来ますので、みんなで仲良くしてあげてくださいね」

先生がそう言うと、生徒達は「はい!」と勢いに返事をした。

「それでは入ってきてください」

先生の合図で芹雫が入ってきた。
生徒達は、不思議な雰囲気を纏った芹雫に釘付けになっていた。
芹雫は、教卓の方まで歩いていくと、黒板に自分の名前、「華茜 芹雫」と、綺麗な字で書いた。

「華茜 芹雫です。よろしく」

芹雫はペコッと頭を下げて自己紹介をした。

「それじゃあ華茜さん、あそこの空いてる席に座ってください」
「はい」

芹雫は、指定された空席にスタスタと歩いていく。
HRが終わったあと、芹雫は質問攻めを受けた。

「ねぇねぇ!彼氏とかいるの!?」
「?いないよ……?」

そもそも彼氏って何だ?って顔をする芹雫だが、それでも気にせず生徒達は芹雫に質問を続けた。
そこで、芹雫にとって一番答えにくい質問が来た。

「じゃあ華茜さんは、神奈川に来る前どこに住んでたの?」
「えっ?えっとね……あれ?」

芹雫は自分の出身地を探すが、記憶の中は、どこも彼女の出身地だった。

(え?ここが私の出身地?じゃあここは?こっちも私の出身地……?)

みるみるうちに芹雫の表情は憂いを帯びていく。

「華茜さん……?」
「……!?な、何?」
「大丈夫?ボーッとしてたけど……」
「えっ……あ、大丈夫!大丈夫!」

芹雫は考えるのをやめて笑顔で女生徒に言った。




.

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作者名:雪女神 | 作者ホームページ:赤朱緋紅青蒼碧緑翠翆碧藤紫菫桃桜  
作成日時:2018年4月22日 1時

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