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十五. ページ15

午後6時。
あれからかなり時間が経つのだが、芹雫は中々目を覚まさなかった。
12時から6時間も経っているのにも関わらず。

「……」

部活の後、赤也は芹雫がどうしても心配で、帰らずに彼女が起きるまで待っていた。
しかし、目を覚ます気配は全くない。

「芹雫先輩……」

赤也は目にうっすらと涙を浮かべて芹雫の名前を呼んだ。
すると………

「んっ……」
「!!」

芹雫は、ほんの小さな音だったが声を発した。

「芹雫先輩…!!」

赤也は、頑張れとでも言うように芹雫を強く想った。
そしてついに、芹雫は目を開いた。

「ん……あれ…私……」

目を覚ました芹雫だが、瞳は少し虚ろで視点がまだ定まっていなかった。
赤也は、そんなことお構い無しに芹雫に抱きついた。

「芹雫せんぱーい!!」
「!?」

芹雫は突然の衝撃に目を完全に覚まし、赤也を見る。

「あ……えと……あっ、赤也くん…」

忘れかけていたのか、思い出す素振りをしてから彼の名前を呼んだ。

「何で赤也くんが……」

もうとっくに帰る時間に残っている彼に聞くと、赤也はこう答えた。

「先輩が心配だったんスよぉ〜!」

赤也は更に力強く芹雫に抱きついた。
芹雫は少し苦しくなって声を漏らしそうになったが、我慢した。
そこで芹雫は気になったことをひとつ聞く。

「赤也くんって、私とタメで話してたよね?どうして?」

会ったときのことを思い出し、芹雫は赤也に聞いた。
すると、赤也は芹雫を見て言った。

「先輩だって知らなかったんです……すみませんでした!!」

しまいには土下座まで始める赤也。
芹雫は慌ててやめさせた。

「何だ……そうだったんだ……」

芹雫は納得すると、時計を見た。
時刻はもう6:30を過ぎていた。

「赤也くん、もう帰った方がいいよ?」

芹雫がそう言うと、赤也は「一緒に帰りましょうよ」と言ってきた。
芹雫は断る理由もないため、すぐに了承した。

「帰りの支度するから門で待っててね」
「了解ッス!!」




.

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作者名:雪女神 | 作者ホームページ:赤朱緋紅青蒼碧緑翠翆碧藤紫菫桃桜  
作成日時:2018年4月22日 1時

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