胸きゅん、しよう

胸きゅん、しよう 2 ページ2

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「意味わかんないんだけど、なに胸きゅんって」


面倒くさそうにため息を吐きながら答える風磨。



『付き合ったはじめの方って、いちいちきゅんきゅんしてたじゃん、それ』


「はぁ、なんで」


『いや、私たち一応交際中だよ？なんにもないって、大問題でしょ。』



風磨はまるで今更かと言うようにまた雑誌に視線を落とした。


いや、私だって今更どうしたとは思っているけど、人間は刺激を求める生き物なのだ。



『ねぇ、いいじゃん、胸きゅんしよ』


「やだね」



頑なに首を縦に振らない風磨に呆れつつも、最後の願いを込めてこんなことを言ってみた。



『…じゃあ中島くんにやってもらおーっと。中島くんは風磨と違ってきっときゅんきゅんさせてくれるもん。』



風磨はそれを聞いて少し顔をしかめた。


私はそれを気にしない振りして電話帳をあさるふりをする。



…こんな私たちでも希望はあるんだ、きっと。




『な…な…中島くん…あった』



電話をかけるボタンを押す直前で風磨にスマホを取られる。


んふ、かかったな。



『何？風磨、私は胸きゅんしたいのよ』



風磨は小さく舌打ちをして私の目を捉えた。





「…いいぜ、胸きゅん、させてやる」



…変わるといいな、私たちの関係

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