風磨先輩、結婚しましょう

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「……ねぇ！風磨くん！話聞いてる！？」



「あー…ごめん勝利なんも聞いてねぇわ」



そうだった、今、バイトの休憩中なんだった。


あ、こいつは勝利。


一個下の後輩だけど、中学の時中島と一緒によく遊んでた。


佐藤コーポレーションの息子でかなり金持ちだけど公立の学校行ってたりバイトしたりしてるまぁまぁ変わったヤツ。


本人曰く「長男じゃないから自由だし、社会的にバイトとかやってた方がいいじゃん！」らしい。



「風磨くん最近なんか上の空じゃない？さっきからずっとスマホ見てるし、ついに彼女でも出来たの風磨くん。」



例のデートした時に、水族館で強制的に撮られたAとのツーショット写真。


なんか血迷って待ち受けにしたんだよな、えっ俺ずっと見てたの？


あいつのこと馬鹿にできないくらいストーカー癖うつった？

恥ずかし。


てか。


「彼女とか…そんなんじゃねぇよ」


「え〜本当？つまんないなぁ」


いや、本当、彼女じゃねえし。

…あいつって俺のなんなんだろうな。


そんなことを考えている俺の手から、勝利によってスマホが抜き取られた。


「ちょっお前見んなって…！」


取り返そうとしてもひょいっと避けられてしまう。


女子とのツーショとか、俺のキャラじゃねぇから…！




そんな俺の願いも虚しく、勝利は簡単に俺の待ち受けを開き、割と軽い口ぶりで呟いた。




「あれ、Aちゃんじゃん。」

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