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『制服じゃない風磨先輩ってやっぱり新鮮ですよね、めっちゃかっこいいです』
駅で電車を待つ時間、他愛のない会話を始める。
「初めてか、制服以外で会うの」
『……そーう、ですね、うん、です』
「なんだ今の間」
バイト終わりの風磨先輩をこっそりひっそり眺めてたなんて口が裂けても言えない!!
『な、なんでもないです!!』
動揺しまくって怪しまれる。
「なんか隠してんな??吐けよ」
なんて言うドSっ気がある風磨先輩がかっこよすぎて思わず言ってしまいそうになるけど。
『い、言いませんよ…秘密です!』
「ほーん、俺は別にいいんだけど?このまま帰ろっかな?」
『あーあーだめです!!人生で一度きりしかない風磨先輩とのデートチャンスなんですぅ!!』
「じゃあ言えって」
あーもう!
はめられた、引かれて人生終わるな…なんて、もう遅いか。
無言で風磨先輩が圧力をかけてくるから、私は仕方なく、口を開いた。
『ちょーっと、その、ちょっとですよ?風磨先輩のバイト終わりを、こーっそり、眺めてたり、してたなぁって…』
勇気を出したカミングアウトに、風磨先輩は珍しく笑っていた。
「うわ怖、ストーカーだストーカー(笑)やっぱ帰っていい?」
『わ、ひどいです!だめです帰っちゃ!』
「嘘だって、笑」
ん!?あれ!?
なんか今日の風磨先輩雰囲気柔らかくないですか?
ツンデレ卒業なんですか?
『怒らないんですね?』
不思議に思って問いかけると、思いがけない言葉が帰ってくる。
「お前の愛情表現だろそれ、ちゃんと理解してるから」
『ぶぇっ!?』
「なんだその声、だっさ」
いや、まさか、風磨先輩が私のことをそんなふうに考えていてくれていたなんて、予想外すぎて。
別に、好きって言われたわけでもないのに、胸の高鳴りが止まらなくなった。
「ばーか、何泣いてんだよ」
『う、嬉しくて』
気付けば濡れていた頬を、風磨先輩の手が優しく包んだ。
嬉しくて、嬉しくて。
同時に、
叶うことのない恋だということが、とても悲しくなった。
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☆ - 2【と多分初めて二ヶ月目くらい】→と多分始めて、 12【思いがけない言葉が帰ってくる】→返ってくる、 17【やっぱ中島先輩に聞けやばよかったかな】→聞けばよかったかな、 23【今日は修学旅行開け】→修学旅行明け だと思います。お話面白かったです! (2019年6月1日 13時) (レス) id: 44d28ad2ed (このIDを非表示/違反報告)
hiKaru(プロフ) - 泣いて、笑って、感情ぶっ壊れました、ニヤけが止まりませんでした← 最高でしたありがとうございます! (2019年5月20日 10時) (レス) id: 2ea4cac407 (このIDを非表示/違反報告)
せーら - ちゃんと*で書いてくださってありがとうございます。これからもルールは守っていきましょうね! (2019年3月17日 15時) (レス) id: 900ba05975 (このIDを非表示/違反報告)
ヒヨリ - 小鳥遊さん» とても面白かったです!! (2019年3月16日 13時) (レス) id: 61e4e164fd (このIDを非表示/違反報告)
せーら - すごく面白いんですが名前は忘れましたが何年か前の少女漫画と内容がほとんど一緒ですよね?もしかしたらパクリかと勘違いしてしまう方がいるかもしれませんので参考にしたなら参考にしたということでタグ付けしてはどうですか?でも、とっても面白かったです! (2018年9月2日 23時) (レス) id: 9c6b8d89a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小鳥遊 | 作成日時:2017年12月18日 0時