流２ ページ35
確実に近付く終わりを前に暗い顔をするようになってしまうA
明るくしようとしているのがバレる位にぎこちない表情だった
少し体にボロが出始めて体の不調を感じる日が増えていき11ヶ月目の途中から入院生活が始まった
毎日の様に両親と剣持がお見舞いに行って沢山の話をしてあげる
痩せて行きながらも楽しそうに笑うAを見ているのが辛いが向き合い続ける剣持
そしてついに1年がたった日
Aは人生の中で見た事がないほど泣いて「もっと生きたかった」と叫んだ
でも、命の終わりが直ぐそこまで来ているのは自分でもわかってしまった
だから隣で手を握っている剣持の手を強く握り返して
「私の分まで沢山生きて。それでもしもまた別の私に会ったら沢山話を聞かせて」
自分の命が届かなかった時間を託し、彼が長生きできるように願った
命を懸けたその願いは強い力を持って剣持に刻まれる
「長生きして悔しい思いさせてやる」と笑う剣持に看取られ短い人生を終えたA
遅れてやって来た両親に遺言で託されたことを伝えて「看取ってくれてありがとう」と言われる
Aの葬儀が終わって暫くの間はぼーっとしたり上の空だった剣持だが友人や周りの人が気にかけてくれて早めに何時もの生活に戻る事が出来た
そして少し寂しい横を気にしながら2年生の残りを過ごし休み明け
剣持は3年のクラス分けを見たが名前がなく友人は「誰？」と忘れていて先生は「お前は2年だろ」と言われる
2年の方を見ると去年と同じクラスに名前が書いてあり誰も疑問に思わない様子
当たり前のように2年として扱われ続け親に年齢が16歳と言われた事で自分だけ時間が進んでいない事に確信を持った
どうにかならないかと考えるも明らかに人の手でどうにか出来る問題では無いので諦めて2年をやり直し1年後
3年ではなく2年生に名前があるのと友人に覚えられてないことを確認しまたやり直し
何年も何年も16歳の高二を繰り返し続け『もしかしてAとの約束かな』と原因を思い出す
仕方ないので次のAが現れるまで16歳を繰り返す覚悟を決めて毎年墓参りで愚痴ることにした
何年も何十年も16歳を繰り返し墓参りで愚痴をこぼし続けていたある年
墓参りで愚痴った後、幼女の後ろ姿をみつけ「迷子？」と話しかける
振り返った子供は ずっと昔に別れたAと瓜二つで
思わず名前を聞いたら同姓同名だった
色々と言いたい気持ちが溢れて止まらない剣持
分岐入りマース
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作者名：黒梟 | 作成日時：2023年1月8日 23時
