Sparkler.17 ページ17
あれから、太宰名義で学校に通い始めると、初めは様々な目で見られたが段々前のような生活に戻ってきた。
変わったことといえば思い出したくもないほど物凄く強烈な入社試験を受け、探偵社に入社したことくらいだ。
因みに、線香花火は願いを叶えてくれたのか叶えてくれなかったのか、イマイチ分からないままだ。
だが、間違いなく言えるのは私は線香花火のお陰でとんでもない事に巻き込まれたということだ。
そこで自分を見つけろということだろうか。
全く理解ができない。
「紅子ちゃん!写真撮ろ!」
「あ、うん。」
そして今日は卒業式。
時が過ぎるのは本当に早いと思う。
午前は式、午後は部活の集まりと夕方から夜まではクラス会。
式ではボロ泣きしてしまい、クラス中に笑われたのは言うまでもない。
式には太宰治も来ていた為、あとから弄られないかが心配だ。
式中に保護者席に目を向けると、そこには北村四海も来ており、綺麗な着物に身を包んでいた。
マフィアとは思えないと今でも思っている。
北村四海は午後の部活の集まりにも来た。
そこで太宰治と何やら口論になっていたが私も北村(妹)も恥ずかしかった為、赤の他人の振りを突き通した。
そして午後、クラス会は何故か幹事の一人に任命され、なんだかんだ言ってクラスに馴染めてたのだと実感した。
「太宰さ、高校なんで行かなかったんだよ。」
「あー、うん、新しく引き取ってくれた人に迷惑かなって。それに、うん、就職決まったから。」
「はえーな、おい。聞いたか、皆?こいつ就職だって!」
「ちょ、杉山!」
クラス会。
写真を撮ったり雑談したり、みんな最後の時間を楽しんでいる中、私は高校進学を諦めた為(学力的問題はなかったが)散々質問攻めされた。
「えー!紅子ちゃん何処就職?」
「ん?内緒。」
教えてと攻め寄る女子に予想し始める男子。
やっぱり五月蝿いクラスだと思っている。
少し、ここに入れてよかったと、あの時、死ななくてよかったと思っている。
太宰治には感謝しなくてはならない。
「でも、凄く、暖かい場所。ここみたいに。」
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作者名:津田万水。 | 作者ホームページ:@lotus_1022
作成日時:2017年8月28日 7時