廉直教師と元上司【文豪ストレイドッグス】 (ページ4)

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噺.3 ページ4

その日の夜。

授業で使うものを買いに街に出掛けたA。

彼女の真上に有る瓦斯灯は消えたり灯ったりと不気味な雰囲気を放っている。

『偶然……という訳では無さそうですね。"重治さん"』

「この世に偶然などない。久しいな、A。」

呼び方もこの四年で中野さんから重治さんと変わっていた。

『何故、此処に？』

「……計劃が酒に酔った。それも最悪な事に中也とな。後が面倒なのは目に見えている。立原や広津に任せてきた。」

その事を聞いて苦笑いを浮かべるだけしかAは出来なかった。

想像するだけでも恐ろしい。

超絶シスコンの伊藤、太宰の事を毛嫌いしている中原。

その上どちらとも酒に弱いと来た。

面倒くさくなるのは目に見えている。

「Aは、知っているか？」

急な話の転換にAは慌てる。

『何を、ですか？』

「お前が抜けた後、織田が殉職、太宰が失踪した。」

衝撃が走った。

『織田、さんと……太宰さんが……？』

自然と声が震えている。

「気を付けろ、A。太宰の行方はマフィアでも未だに掴めていない。」

一言残した後、暗闇に溶け込み去ってしまった中野。

不気味な雰囲気を放っている瓦斯灯の下に取り残されたA。

『一体貴方は何を望んでいるのですか……太宰治さん。』

その言葉は闇夜に掻き消された。