廉直教師と元上司【文豪ストレイドッグス】 (ページ3)

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噺.2 ページ3

入学式が終わり放課後。

大体の生徒は部活動に入っており、活動を行っている。

Aは顧問についていない為、教員室で仕事をこなしていた。

「失礼しまーす。横光先生いらっしゃいますかー？」

そんな声が聞こえた。

「あ、横光先生。小川さんが呼んでますよ？」

『小川未明が？分かりました。態々有難うございます。』

「いえいえ。」

他の顧問についていない先生が教えてくれ、教員室の入口まで向かうと一人の少女が立っていた。

因みにこの学校は教員室の入口から少しある所に衝立があり、そこから先は要件を伝えないと入れないようになっている。

だから、Aは入口まで向かったのだ。

『あら、どうかしたの？未明(みめい)。』

「"みめい"じゃなくて"びめい"ね、横光センセー。」

そこに居たのはAのクラスの女の子だった。

『あ、ごめんなさい。未明(びめい)。それよりどうしたの？』

「ン～？このプリントが分からなくて来たンですが。」

と、理科のあるプリントを見せる。

『イオンの問題？ここ授業で説明しなかったっけ？』

「して貰った記憶ありますネ～。でもイマイチジブンの中で理解出来なくて。」

目の前の少女はあはは～と苦笑いをする。

『理解出来なくて来るのはいい事だから構わないケド、顧問の先生には言った？えっと未明は何部だっけ？』

「あはは～言ってないデス。えっと、美術部デス。」

Aは教員室内の内線用電話を使い美術室に連絡を入れた。

「有難うございますセンセー。」

『いいのよ。さァ、やるからにはしっかりやろうか。』

そうして二人は教員室を後にして理科学習室へと向かった。

理科学習室は三階にある為、移動中にたくさんの生徒とすれ違った。

今日は雨の為、屋外でしている部活動も室内でやっているからだ。

「横光先生今からどこ行くの？」

『ン～？未明に理科教えにいくのよ。』

「ずる～い。」

移動中も必ずAは生徒に言葉を返した。

理科学習室に着くと少女は一番前の席に座り、Aは教卓の前に立ち、黒板を使って丁寧に教えていく。

『よし、これが分かればきっとこのプリントも出来るからやってみようか？』

「えぇ？そのプリント発展問題のヤツじゃあ無いデスか。」

少女が追加のプリントをしている間、Aはより一層強くなった雨の降る窓を見ていた。

(こんな日は魚釣り(密会)に最適、だったけ。)

そんな事を思いながら。