噺.12。 ページ13
「確か、間違いがなければあの子は次の授業参観で事を起こすそうじゃな。」
「はい…。なんでも太宰の奴が横光の授業を見に来るそうで。そこで捕らえるとのことです。ですが……」
「恐らくあ奴は太宰を、A諸共殺すじゃろうな。」
なんとも言えない、暗い雰囲気が漂う。
そこで尾崎はドアの向こう側に視線を向けた。
「のう。お主もそこで盗み聞きなんぞしとらんで入ってきてはどうかの？伊藤よ。」
「姐さんにはお見通しですか。」
「なっ、伊藤補佐…!?」
扉の向こう側には伊藤が立っていた。
伊藤は言われるがままに部屋に入り、入口の扉によし掛かった。
「お主に取っては辛う話になるぞ？」
「構いませんよ。僕に取っては知っていた方が得でしょうし。」
視線を窓の外から尾崎に移すと尾崎は太宰より頭の回るヤツと話すのは疲れるわとため息をついた。
「それより樋口よ。この後任務ではないのかえ？」
「あ……尾崎幹部。失礼致します。今日は有難うございました。」
「礼などいらぬよ。早う芥川の元へ向かうと良い。」
そう言われるとお辞儀をし、即座に任務へ向かう樋口。
そんな様子を見届けた後、二人は話を戻した。
「姐さん、きっとあの子はあの二人を殺せませんよ。」
自信に満ちた顔でそう答えた伊藤。
それを面白がる様に笑い、続きを聞く尾崎。
「ほう。何故そう思えるのじゃ？」
「秘密、です。きっとあの元冷酷上司と西條が何とかしてくれますよ。」
「太宰は分かるが、八十がか？あ奴の実力は確かじゃ、異能を保持していないあ奴がどうこうできる問題ではないと思うがのう…。」
「それは、お楽しみですよ。」
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