【鬼滅の刃】救われない。【男主】

第27夜 ページ27

「よォ、朝霧。眠り姫のお目覚めってやつか？」
「……天、元？」

朝霧は柱合会議が行われている真っ最中に目を覚ました。
左腕に感じるひんやりとした体温に違和感を覚え、視線を左へと流すと、そこには片腕を失った宇髄が朝霧の腕に手を添えていた。


「守れなくて、すまない。」

朝霧は宇髄が今回の戦いで失った左目と左腕を宙で準えると涙を一筋流した。
その腕の動きはぎこちなく、数日眠っていたこともあり腕には痩せが見られる。


「お前のせいじゃないさ。」

宇髄が右手でそっと朝霧の涙を拭ってやると、朝霧はこの短時間でさえ体力を消耗したのか、落ちる瞼に抗うように目を細める。

朝霧の身体は不死な故にそれ相応の"ガタ"が来る。
そして、なにより、完全なものでは無い。

それらがこの世に完璧なものなど無いことを誇張している。

「今はまだ、ゆっくりお休み。」

宇髄は拭った手で、そのまま朝霧の瞼を落とさせる。
流れるように額をなぞり、頭を撫でる。

正体不明だったこの男の正体に一歩近づけた気がした。
多くの者が憧憬の眼差しを向けるこの男の全てを知るものなど、御館様以外には存在しなかった。
それが今、全て明かされようとしている。
己とこの男を隔てる壁が少しずつ、下がっていくのを宇髄は感じた。


「時が来たら、話してもらうからな……。」

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