第17夜 ページ17
「へぇ、これまた綺麗な色をしやがる。」
朝霧が鞘から刀を抜くと、美しい、まるで月光のような色を放つ刀身があらわになる。
黄色でもなく、白でもなく。
自然に月が放つ独特の色をそれは放っていた。
「大した破損はなかったが、調整はしておいた。」
「すまない、恩に着る。」
「仕事だから構わん。まぁ、折ってこられたらお前の首をへし折るがな。」
朝霧の前で悠長にずんだ餅を頬張る刀鍛冶__鈴ケ峰__。
ゆっくりと鞘に仕舞う時、チリン、と鈴の音が鳴った。
刀の頭につけられた鈴の音だ。
赤い組紐で刀に付けられたそれを優しい手つきで触ったかと思うと、朝霧は強引に引きちぎり、鈴ケ峰へと投げ付けた。
「てめっ、俺が作った日輪刀って証拠の大事な鈴だぞ!!!?」
「邪魔だ。」
「大切な鈴を邪魔だとッ!?」
幾度となく過去にも繰り返されたやり取りを、今回もまた、彼らは繰り返す。
鈴は的に気づかれる上に刀を振るう時に邪魔だと供述し、引きちぎる朝霧に、自分の作った日輪刀という大事な象徴である鈴を外されるわけには行かない、と必死の鈴ケ峰。
結局は鈴ケ峰が折れ、鈴がつけられることは無いのだが、こうやって刀が鈴ケ峰の手に渡る度に、それは付けられて戻ってくるのだ。
「刀は確かに受けとった。それでは。」
「おい!待ちやがれ!朝霧!」
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天麩羅 - わわわ更新されてるぅぅううう!! (2020年3月15日 22時) (レス) id: eb9a0c61ed (このIDを非表示/違反報告)
天麩羅 - わぁーーーぁああああ!面白いぃぃぃぃいいいい!更新頑張って下さいぃいい!! (2020年3月14日 22時) (レス) id: eb9a0c61ed (このIDを非表示/違反報告)
小坂谷 真夜(プロフ) - いおりさん» ありがとうございます。そのようなお言葉本当に嬉しい限りです。 (2020年2月1日 22時) (レス) id: 79a8fd2e1c (このIDを非表示/違反報告)
いおり - めっちゃどタイプの小説きたーーーっ、これからも期待して待ってます。更新頑張ってください (2020年1月12日 14時) (レス) id: bce55b4438 (このIDを非表示/違反報告)
小坂谷 真夜(プロフ) - mo4さん» コメントありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです。 (2020年1月12日 13時) (レス) id: 79a8fd2e1c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:小坂谷 真夜 | 作者ホームページ:@lotus_1022
作成日時:2019年9月9日 22時