名脇役 (ページ7)

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次の日から、Aは明るく振舞っとったけど

本当は元気がなかった

｢そんだけしか食べへんの？｣

『うん、ダイエット』

嘘つけ、ダイエットなんかするタイプちゃうやろ

『？！』

｢ダイエットなんかせんでええ、骸骨なんぞ｣

自分のパンを少しちぎって
無理やりAの口に突っ込んでやった

『ゴーイン………』

｢男はちょっと強引な方がええ言うやろ｣

『今のはちょっと違う……』

｢はいはい、ええからもっと食え｣

アホみたいに口に入れるから

『ばか、多いよ、口入んない』

って、やっと笑ってくれた

こうして、俺が側におるから

1人で苦しんだりすんなって

不器用な俺なりに伝えたつもりやった

少なくとも、あの飲み会の日までは

俺が一番近くにおるつもりやった

もうすぐ10月、季節が変わっても

俺とAの仲は変わらず

Aの気持ちも変わらなかった

｢明後日の飲み会行く？
…濱ちゃん来るって言うてたけど｣

『…いく』

Aに寄り添う気持ちで飲み会に誘った

今回の飲み会はこの数カ月で仲良くなった淳太こと中間さんも来るから
俺にとっても行って損のない飲み会やと思った

なのに

｢淳太許さん｣

淳太のやつ、ドタキャンしやがった

これじゃあ俺、濱ちゃんに恋するAを見届けるしかやることがない

地獄や

しかも、さっきトイレに立ったとき

偶然聞こえてきた先輩たちの会話

"濱田さんが来るの、珍しいな"

"今日木曜やもん、ほら、愛美さんが夜勤で家におらん日"

濱ちゃんは、愛美さんがいない日にだけ飲み会に参加していたらしい

そんなの、Aが知ったら

せっかくの飲み会が楽しくなくなる

………いや、むしろ知った方がええんかな

知って傷ついて、もう濱ちゃんのこと諦めるって

そう思ってくれた方が

Aのためにも、俺のためにも…………

｢…なあ｣

『…なに？』

｢今日濱ちゃんがここに来た理由知ってる？｣

俺は、意地悪をした