名脇役 (ページ5)

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夏休みがあけ、文化祭の時期になった頃には

俺と愛美さんは校内でも自然と会話ができるほど仲良くなっていた

｢大毅くんのクラスは何するの？｣

｢あー、お化け屋敷って話にはなってるんですけど
まだ決まってはないっすね
愛美さんとこは？｣

｢喫茶店かな〜、たぶん！｣

どっかのタイミングで、文化祭一緒にまわりたい

そう伝えようと思っていた

そのタイミングを壊したのが

｢しげ、女子が準備サボんなって怒ってんで｣

同じクラスの小瀧望だった

｢うわ、怒られた、ごめん愛美さん、また｣

｢ん、いいよ、大毅くん頑張ってね｣

｢あ、待って｣

｢どうしました？｣

｢そこの、背の高い子、名前聞いてもいい？｣

愛美さんが呼び止めたのは俺じゃなくて小瀧だった

｢小瀧望、です｣

いくらモテる小瀧でも愛美さん相手だと
少し緊張したらしい

｢望くん、ね
大毅くんをよろしくね｣

にっこり笑った愛美さんに、小瀧も満更でもなさそうに

｢任せてください｣

と笑った

このとき何となく、嫌な予感がしたのは間違っていなかった

この1ヶ月後、小瀧と愛美さんは付き合うことになった

そして小瀧と付き合ってから

愛美さんは俺を全く相手にしなくなった

今までしていた連絡も適当にあしらわれ、

校内ではすれ違っても他人のフリ

俺はあくまで"小瀧に近づくための道具"でしかなかったことに

このとき初めて気が付いた