名脇役 (ページ11)

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違和感を覚えながら季節は変わり

俺はクリスマスも年越しも二人きりじゃなくともAと過ごすことが出来た

そして気づけばもうすぐ2月

街はすっかりあの行事一色に染まっていた

｢もうすぐバレンタインやな｣

昼ごはんを食べているときさりげなく言ってみた

Aは忘れてた、と言わんばかりに小声で
そっか、もうすぐ2月か
なんて言った

女子でも忘れる子、おるんやな

いやむしろ男子の方が気にしてんのかな

『なにそれ、チョコレートくださいのアピール？』

さりげなく言ったつもりやったけど
やっぱりそう思うよな

｢いや、まあ確かにチョコはほしいねんけど｣

でもここからが本題

｢本命、濱ちゃんにあげるん？｣

俺がほんまに聞きたかったんはこれ

"濱ちゃん"というワードを出した途端
Aは呆れたような顔をする

『だからさ、濱ちゃんのことはもう諦めたって言ったじゃん』

｢ふーん？｣

ほんまに、そうなん？

今でもたまに濱ちゃんのこと目で追ってんの
知ってんねん

『ほんと重岡もしつこいね？
諦めたってずっと言ってるよね、私』

｢ほんまにもう好きじゃないん？｣

『ねぇ、しつこい
そういう重岡こそ好きな子とかいないわけ？』

酷な質問するんやな、ほんまに

｢おる｣

『え、好きな子いるの？
初耳なんですけど…』

｢だって言うてへんもん｣

当たり前やん、そんな簡単に言えるか

振られんのわかってんのに

『誰？』

ムカつく、こいつ

そんな聞き方すんの、全く眼中に無いってことやん

あーーー、もう

言ってしまえ

さっきまで外していた視線を

Aのそれとぶつけて言った

俺の好きな子は

｢おまえ｣