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8.大学生 ページ8

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____2017.春《好きになれたら》




「飲まへんの?」


地元の大学に無事に合格して、初めてのサークル会。

知り合いもいないくせにノリで入った映画サークル。


別に理由なんてなくて、映画でも見てたらボウのこと忘れられるかもしれんって。



そんな中、ボーッと座って話を聞いている私に、
声をかけてくれたのが彼だった。



『あ、すみません。まだ18なんです』


「あっ……せやな。ごめんな?」


お酒が入ったせいか少しだけ赤くなった頬が緩む綺麗な切れ長の瞳。



「も〜、純喜くんナンパせんといてや!」


「ちゃうわ!」


「嫌やったやろ?断ってええねんで!」


ね〜?って首を傾げてこちらを見るその人。
クイッと上がった口角に思わず見とれてしまいそうになった。



ほんのり茶色に染った髪の毛が、色っぽい。
身長は私より少し高いくらい。



関西も捨てたもんやない。theイケメンがおった。



純喜くんと呼ばれた人の横から無理やり出てきて、
よろしく、と当たり前のように差し出されたその手を戸惑いながらも握り返す。


純喜「拓実もまだ19やろ、下がっとけ!」


その人は川西さんのわしゃわしゃと髪の毛を撫で、
満足そうに笑った。


『よろしくお願いします』



今思えば自分でも笑ってしまいそうなくらい、猫を被った返事をした。

純喜さんは空になったグラスを上にあげて応えた。


その後、飲まされそうになった私のグラスを、自分の飲みほしたグラスと変えてくれた。


『すみません』

バレないように小声で話す。

ええで、笑いながら耳元でつぶやくその声に、
飲んでもいないのに顔が赤くなった。


まるでふたりの秘密ができたみたいに。

.


祥生「で?その純喜さんのこと好きになったん?


『好きになれたら楽やな』


祥生「汐恩も連絡くらいしたらええのにな」


『うーん、気まずい』



美容専門学校に入学した祥生に夜な夜な電話をかけるのも、ちょっと懐かしい。

汐恩、その名前を聞いてちょっと動揺する私は
いまだに前に進めてへん。

ボウばっかり、ずるい。




歓迎会で撮った集合写真を見返すと、

高く手を挙げてピースをする川西さんの横で
大きく口を開けて親指を立てて笑う純喜さん。



好きになる、か。私には無縁やな。


そのあと、橋本さんのインスタのストーリーを見てため息をついた。


ボウ、幸せそうやな。



私だけ、あの日のまま。変わらへん。


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^^(プロフ) - このストーリー大好きです😭💞続き楽しみにしてます🙇‍♀️🙇‍♀️🙇‍♀️ (2022年2月14日 5時) (レス) @page10 id: feebfdcf28 (このIDを非表示/違反報告)
ミイ(プロフ) - 小森さん» ありがとうございます!更新しますね!! (2021年10月14日 23時) (レス) id: beccf8bfba (このIDを非表示/違反報告)
小森(プロフ) - このお話本当に大好きです。続きを楽しみにしています! (2021年10月13日 3時) (レス) id: ef7b8555f6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミイ | 作成日時:2021年9月19日 20時

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