6 ページ3
「ごめん遅くなって。あがったよー」
萩原を先頭にリビングに入っていくがそれに応える声はない。
「あれ……って寝てら。」
「まじかよ?油断しすぎじゃねーか」
「疲れてるんだろ」
松田の呆れたような声に、景光がフォローするかのように笑った。
ソファですぅすぅと寝息を立てる少女を見る。本当に、こんな子が……俺たちを、救ったのか?
「これ起こす?」
「寝させといてやりたい気もするが、風邪ひいたらアレだし……でもなぁ……」
景光の言葉に、松田が腹を抑えた。
「腹、減ってんだよなぁ……。」
さすがに勝手にいじくって飯を食うわけにも行かず、どうしようかと彼らが逡巡したその時、プルルルル、という甲高い音が部屋に響いた。
Aがガバッと起き上がり、自分を見下ろす三人を見て驚いたように一瞬目を見開いたあと、「ちょっとだけサイレントモードで!」と言って電話に出た。
『はいもっしー……蘭?あぁ……ゴールデンウィーク?や、ごめん、バイト入れちった』
ええ〜という残念そうな声がスピーカーから漏れて聞こえてくる。若い女の声……友達だろうか。
『あーそう、ゴールデンウィーク限定でね……うん、うん……ほんとすまん。……うん、また遊ぼ、ありがとね。あー、え、まじ?明日化学課題あったっけ…うわ、完全に忘れてたわ。ありがと!…んじゃ、また明日、学校で。はーい、じゃあね』
ぶち、と電話を切ったAが申し訳なさそうにソファから起き上がる。
『完全に寝てましたスミマセン。じゃ、ご飯の用意するんで待っててください』
「なんか手伝おうか?」
萩原の言葉に、じゃあ、とAが食器棚を指さす。
『箸とコップの用意お願いしまーす』
そう言ってキッチンの方へ向かうAを見て、松田がポツリと呟いた。
「本当に女子高生なんだな……」
「だったな……」
先程の電話で実感させられたその事実。
[普通に現実社会に居場所を持つ高校生]なのだ、と思い知らされた。
なんとなくもはやAのことを人間でないように捉えており、だからこそこんなお願いをしたわけだが。
「警察官として色々アウトだよな」
「だよなぁ…」
何も考えてなさそうに、Aと談笑しながら手伝っている萩原を見て、二人は少しため息をついた。
1574人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
むう(プロフ) - 続き楽しみです! (10月6日 23時) (レス) id: 0b84ecb32f (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 完結になっていますが、これで終わりなのでしょうか? (6月15日 15時) (レス) @page12 id: de2c41cb59 (このIDを非表示/違反報告)
みづき(プロフ) - 続き楽しみに待ってます! (2022年11月25日 19時) (レス) @page12 id: 48cafece7d (このIDを非表示/違反報告)
景璃(プロフ) - お、終わりですか!???!(´TωT`)可能であれば続き待ってます! (2022年3月15日 5時) (レス) @page12 id: 0eef4a91ab (このIDを非表示/違反報告)
雀 - とっても面白いです。続きを楽しみにしてます。 (2021年12月8日 20時) (レス) @page12 id: 2e973fc2c9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:もちチーズ | 作成日時:2019年3月25日 0時