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からあげを食べながら、逃げるように路地裏に入り込む。
そしてやたらめったら……癖で、足音を消してしまってたのだ。まあついでに気配も。
その状態で、薄暗い路地を曲がり、目に飛び込んで来たのは───全身黒ずくめの男たちが、あの取引で使う……ジュラルミンケース??の受け渡しをしているところだった。
ぼとり。手からからあげがひとつ落ちた。
(こんな裏取引感満載の取引って……下手かァ!)
びっくりした。ざっついなおい。
(……まあ、でも、これ、ヤバいよね。)
『あー……失礼いたしましたー…』
そろり、後ずさろうとした瞬間サラサラヘアーの銀髪のおにーさん……たぶん、ジンが、コートの胸元から素早く銃を取り出した。
「見られちまったモンはしょうがねェ…運が悪かったと思って諦めるんだな。」
『な、なんちゅー理不尽!落ち着きましょう口外しないんで!』
焦る私を見て、冷たい視線で一瞥した男は、引き金を引いた。
**
見た目も悪くない。性格も明るそうだ。普通に生きてればこれから先明るい人生を送っただろうに────災難だったな、と他人事のようにジンは心の中で呟く。
わたわたと慌てる女の反応は一般人のようで、奇妙なものだった。
人間は、本当に命の危険にさらされた時、手練ならともかく、"一般人"は、もっと、怯え、許しを乞う。
焦ってはいる。だが、その焦りの中にも見える余裕。
────そういえば、なぜ、気配に聡い自分がこんな平和ボケしてそうな女に取引現場を見られる羽目になった?
足音なんてしたか?この静かな路地裏で、全く足音に気づかなかった?
だが、オーラからも、なにもかも、裏の雰囲気は感じ取れない。
なにかが、おかしい。
(……殺してしまえば、問題は無い。)
心にまとわりつく"何か"を振り切るように、引き金をひいた。
だが、その瞬間、女は、目の前から消えた。
「な、」
取引相手の男ヒッと声を漏らす。そちらを向こうとした瞬間、手の中にあった銃が消えた。…消えた?
その瞬間、耳元で巫山戯たような女の声が聞こえた。
───「まったく、レディは大切に扱うもんですよ?」
ぞわり。
全身に、鳥肌が立った。
どこまでも普通の調子のその声。この場において、そう、"普通"なことは、"異常"だった。
勘が人より鋭い自分の頭の中で警告がなる。
野性的な本能が、告げていた。
────コイツは、化け物だ、と。
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コリー - こんにちは!いっっつも見させていただいています!!(四週目)コナン編も、ワンピース編も、、、もう。この作品を描いて頂いて本当にありがとうございました!DS時代から見ていて、やっとTwitterをフォローできるようになりました!フォロー失礼します!!! (2021年3月27日 13時) (レス) id: e7c1f8a4e5 (このIDを非表示/違反報告)
こりー - こんにちは!いっつも楽しく読ませていただいています!(四週目)DSの頃から読んでいて、やっとスマホでみれて、Twitterをフォローできるようになりました!!こんな素敵な作品を作ってくださりありがとうございます!!! (2021年3月27日 13時) (レス) id: e7c1f8a4e5 (このIDを非表示/違反報告)
鬼灯 - 44pの蘭が欄になってるよ (2019年5月1日 23時) (レス) id: c9fba58961 (このIDを非表示/違反報告)
緋真 - もちチーズさん» 普段運転してますが、一度目は全然気づきませんでしたよ。気づけてよかったです。もちチーズさんの作品全部大好きです。ほかの作品も読み返しつつ、気長に更新お待ちしてます。頑張ってください! (2019年2月20日 9時) (レス) id: 84b82eb61d (このIDを非表示/違反報告)
もちチーズ(プロフ) - 緋真さん» ご指摘ありがとうございます!!すいません、そうですね(^^; 車のことあんまりわからないので、ご指摘いただけて助かりました。 本当にありがとうございました! (2019年2月19日 22時) (レス) id: f92a4b6f45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もちチーズ | 作成日時:2019年1月14日 12時