2 ページ32
遊真の見当では、今攻めてきているのがこの間のラッド騒ぎと同じ国であるとするなら、ボーダーの戦力の大きさの目星くらいはつけている筈らしい。
それでも仕掛けてきたということは、向こうには勝算があると考えられる。戦いは基本的に、数が多ければ多い程こちらの有利に傾く。それが今、こちらか、向こうか。
レプリカが言った、"敵は戦力を分散している"。それにはきっと、奴さんの狙いがある。
気を抜いてはいけないな。
｢新型トリオン兵……!!｣
｢なるほど、そういうことか。｣
バムスターを沈黙させたところで、東春秋＿春さんから連絡が入った。それは忍田さんへ向けたものだったが、それを聞いたレプリカが合点がいったとばかりに呟いた。
かつてアフトクラトルで開発されていた、捕獲用トリオン兵、"ラービット"。同じ捕獲用であるバムスターと役割は何ら変わらないが、
レプリカの物言いから、従来のトリオン兵とは性能がまるで違うということがわかる。A級隊員であったとしても、単独で挑めば、文字通り"食われる"らしい。そいつが来たら、絶対に遊真と修には近づけさせまいと心に決めた。
既に一人捕獲されているらしく、私達に緊張が走る。忍田さんから気をつけろと言われて気を引き締め直した。
｢月夢。｣
｢なに。｣
｢おまえならやれるか?｣
最後にと忍田さんから訊ねられる。新型とやらにはまだお目通りできていないため、正直のところ私でどうにかなるかはわからない。
｢まだ、わかんない。｣
"そうか"と一つ息を吐くと、再度強く名前を呼ばれた。昔呼んでくれていた、下の名前で。
｢A、少しでも"いける"と思ったら、三雲くん達から離れて、街中の新型を狩りに行け。｣
｢なっ……忍田本部長……!?｣
｢……了解。｣
"A!!"と焦ったように私の肩を掴む修に、遊真が諭すように声をかけた。
｢空閑は……こいつを一人で新型の元へ向かわせてなんとも思わないのか!?A級隊員でさえ危ないんだろ!?｣
｢修……?｣
眉を寄せて、口を歪ませて、悲痛に叫ぶ修の気持ちがわからなくて、私は首を傾げる。どうしてそこまで怒るのか。私は、弱く見えるのだろうか。
｢オサム。｣
そこで、無表情で修を見ていた遊真が再び彼の名前を呼んだ。能面のように表情を殺した遊真は、その時の私の目には、とても怖く映った。
ラッキーアイテム
イーグレット
人物
宇佐美栞
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 106人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ワールドトリガー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
谺(プロフ) - 柊那さん» コメントと応援ありがとうございます!!なるべく更新できるようにします!!これからもよろしくお願いします!!! (2017年11月13日 7時) (
レス) id: c320ec1387 (このIDを非表示/違反報告)
柊那 - とても面白いです！これからも更新頑張ってください(´∀`) (2017年11月13日 5時) (レス) id: 6886eff87c (このIDを非表示/違反報告)
谺(プロフ) - りんださん» ありがとうございます！！最低でも週一か二で更新できるようにがんばります！！！！ (2017年7月29日 21時) (レス) id: 691a812145 (このIDを非表示/違反報告)
りんだ(プロフ) - すごくおもしろかったです！！更新頑張ってください！！ (2017年7月28日 19時) (レス) id: 2c7e01cd57 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：谺 | 作成日時：2017年6月13日 21時
