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17 JN side ページ17
．
「ずっと好きだった」
伝えたくても伝えられなかった言葉
僕にとってAのためだけにあって
口にしたのは生まれて初めて
軽蔑されるとか
もう傍に居られないとか
そんなことは頭を過らなかった
始めの一言を言ってしまえば
後はもう止まらない
まるで締まりの悪い蛇口みたいに
身体の奥から次から次へと言葉が溢れてきた
いきなりの告白に頭がついていかない様子のA
物心ついた時から
今、目の前にいる人間がどうしても欲しかった
Aが欲しい
Aだけが居ればいい
その欲求は知らないうちに
どうしようもないくらい大きくなっていた
心の思うまま
完全に思考を停止させているAに
吸い寄せられるように顔を近づけたら
あと少しというところで頭を掴まれた
でも、考えが甘い
これだけ近くに居るんだ
くっつくとこなんて唇だけじゃない
安心しているAを余所に
形を確かめるかのように唇を舐めると
途端に顔を真っ赤にして離れていくA
今、Aの頭は僕のことでいっぱい
その事実が嬉しくて
もう僕のことしか考えられなくなればいいのに
そう思ったから
もっと頭がいっぱいになる言葉を告げた
「僕だよ、Aのファーストキスの相手」
いい思い出だったはずの記憶を塗り替えられ
再び固まったA
そんなAを残して
窓から自分の部屋へと戻った
― 例え1%でも ―
．
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作者名：HEKi | 作成日時：2023年5月14日 23時
