【ハイキュー】うちの姉ちゃん【短編集】

北姉 ページ20

俺には６つ歳の離れた姉がいる。

真面目で、思いやりがあって、とても立派な人だ。




小5ん時に両親が死んだ。

不慮の事故やった。

衝撃すぎてあんま覚えてへんけど、葬式の最中に泣きながら姉ちゃんに抱きしめられた記憶はある。

「姉ちゃんが信ちゃん守ったるからな」って涙塗れの顔で言われたんも覚えとる。



宣言通り、ばあちゃんに引き取られた後、姉はなにかと俺に尽くした。

大好きやったバレー部やめて、バイト始めて、大学進学も諦めて就職しよった。

ばあちゃんに心配されても、

「ええねん！私は信ちゃんが大事やもん！」

って、

「姉ちゃんがなんぼでも稼いだるから信ちゃんは好きなことせぇよ？」

って、屈託のない笑顔で笑っとった。



今は東京で働きながら、うちに毎月生活費を入れてくれている。


そんな姉に少しでも恩返しがしたくて、姉が夢を諦めた稲荷崎高校に入学した。

周りはバケモンばっかりやったけど、バレー部に入部して毎日堅実に練習をこなした。

「反復・継続・丁寧」

姉がよく言ってた言葉を胸に。



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そんな姉が、久しぶりに兵庫に帰省する。

よく電話はしとったけど、仕事が忙しいみたいで全然会われへんかった。

会うのはいつ振りやろか。


「北さんなんか今日ご機嫌ですね！」

「あかんの？」


そんなに顔にでとったやろか。


「いやいや！珍しいなぁ思うただけです！

なんかあるんですか？！」


「……今日な、姉ちゃんに久しぶりに会うねん」


「えっ！北さんお姉さんおるん？！」

「うちと一緒や！！」


ああ、侑と治んとこも姉ちゃんおるな。

よう迎えに来てるの見とる。

……その姿が少しだけ羨ましかったりしてんけど、


「おったらあかんの？姉ちゃん」

「「いやいやいやいや！！！！」」


今日はええねん。

姉ちゃんに会えるんやもん、全部チャラや。


会えるってだけで、こんなに嬉しいもんなんやろか。




「どんな人なんですか？！北さんのお姉さん！！」

「俺も気になる！」




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「………立派な人やで。

……ほんで、世界で一番大事な人や。」





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「き、北さんが笑うた！！！！」

「事件や！！！！」

「ほんまや！信介笑てる！！」

「何やとッ？！？！」



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なんや外野が騒がしいけど、




「………あかんのか、俺が笑うたら。」

「「いやいやいやいや！！！」」



今はそれより、姉ちゃんに会えることが嬉しいからええわ。

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