爪も牙もない君。

３３、 ページ34

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『今、空き缶落ちて来たよな？』


「うん」




俺たちは塔屋を見上げた





　





ヒュン！





え、なんか飛んで___________






　



　




『いだっ！』




次に投げられたのは、空の紙パック


見事に俺の頭へ命中した








『誰やねん！』




流石の俺でも怒りが込み上げて来て、すぐさま立ち上がって怒鳴ると







　





「翔太！それ俺の飲みかけ！」


『え、佐久間くん？』





なんか、佐久間くんの声が聞こえた




　





『ダテ、今のって』


「あ、康二危ないよ」


『へ？』




全く危険を感じさせない声色で上を見上げとるため、俺も釣られて同じ方向を見たら







　






バシャァ





一気に桃の香りに包まれた






　





『はぁぁぁあ！？』





俺に降りかかってきたのは、なんか桃のジュースが入ったペットボトル



しかも、キャップが空いたまま






「これ、使って」


『ええの？』


「うん」




ダテからハンカチを受け取ると、険しい顔で塔屋を見つめた







　





「やめなよ翔太」


『え、渡辺翔太！？』







ダテの言う通り





　



「うるせーよ、涼太」




不機嫌そうな顔で姿を現した







「そうやって、すぐ物に当たるの直したら？」


「は？」


「大人になりなよ」





俺から見ても分かるで？





　

　



渡辺翔太はダテが好きなんや




やって、めちゃくちゃ泣きそうな顔しとるもん






そいで、2人は両想い






　




せやけど、拒まれてる



訳もわからんまま突き放されて





苦しくて、辛くて







行き場もなく溜め込んでいたものか、決壊しとるんや







　



俺も知っとるで



　







ずっと昔に




理解してもらえへん気持ちってのを体験したから








　





　







『ダテ！今すぐ謝るべきや！！』

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