第２ボタン【永瀬】

にぎやか ページ4

ボーッと見つめていると、
ふと永瀬が顔をあげて。

私に気づくと、
口パクで「A」って言いながら
軽く手を振ってくる。

小さく振り返せば、
照れ臭そうに微笑んで
教室へ入っていった。


「うわー、うわー、何なんアンタら。
　付き合いたてのカップルか！」

「ち、違うもん！」

「端から見てたらそうなんですー！」


このやろ！って
頭をグシャグシャに掻き乱されたから、
私もやり返して２人で笑い合った。

…こんな風に笑い合えるのも、
今日が最後なのかなー…なんて。

…センチメンタル？なんて
永瀬のことからかったけど。

私も、人のこと言えないみたい。


「…卒業しても遊び行こうね」

「ふは、何 急に。
　ええけどさ」


ヘラっと笑った彼女は、
突然 真剣な顔をして。


「彼氏できたら、そっち優先しいや？」


なんて、当然のように言ってくる。


「できたらね、できたら」

「少なからず、
　私よりAの方が
　早くできる気がするから」

「そうかな」


永瀬廉、という人物に出会い
惚れてしまった以上。

…他の男の人を好きになる可能性、
ゼロに等しいんだけどな。

次の恋ができるのは、
たぶんかなり後だもん。

それくらい今の私は永瀬が好きで。

…そんな永瀬と離れたくないから
卒業が嫌なのかもしれないな、なんて。

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