第２ボタン【永瀬】

にらむ ページ13

そのまま彼は、
グラウンドの脇にある
サッカー部の部室に
私を連れ込んで。


「アホちゃう、自分」


なんて、暴言を吐き始めた。


「は、何が？」

「…そんなことも分からんの？」


溜め息をついた彼は、
ものすごく不機嫌で。


「意味分かんない！」


同じように、
私も不機嫌。

当たり前でしょ、
意味も分からずにキレられてるんだもん。

キッと永瀬を睨み返せば、
突然 彼はオロオロし始めて。


「ちゃうやん、やから、あー」


意味不明な言葉を連発すると、
私にギュッと抱きついてきた。


「っ、え、ちょ」


永瀬の思いもよらない行動に
あわてふためく私と
微動だにしない彼。


「な、永瀬っ」


ギュッと目を瞑ったまま言うと、


「…妬いてるんや、気付け あほ」

「へ…」


またもや意外すぎる彼の呟きに
呆然としてしまった。

きす→←りゃくだつ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す