【オリジナル×ダンガンロンパ】二人の少女 (ページ44)

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第31話　　優也過去編ページ44

……余命宣告された次の日、俺は(人1)の入院している病室へと向かった。

そこには、いつも通り変わらない(人1)がいていつも通りくだらない話して、いつも通りゲームで遊んで、いつも通り俺は負けて。

…変わらない、宣告以前と変わらない生活がそこにあった。

(人1)は知ってるんだろうか
自分の命があとわずかなことに。

…気づいているんだろうか。
心の中ではそう思いながら、表面上ではにたにたと馬鹿笑いをしていた。

―そして、中三の冬。

普通の奴なら高校入試だとか、就職するだとか、そんなことを考える季節だ
生憎俺も普通の奴の仲間入りをしていたので、志望校について考えざるおえなかった。

病室でひょんなことを(人1)に尋ねることにした。

「なあ、倉野は高校受験するんだよな。
「…なんでそんな当たり前のこと聞いてんの？」

(人1)はいつも通り笑っていたが、その笑いはどんどん苦しく見えていく。

『笑っているのに、心の中は全く微笑んですらいない。』

俺自身の心の中は、常にそんな状態だった。
すると今度は(人1)がひょんなことを語り始めた。

「…私ね、死ぬ前にやりたいことが３つあってさ。一つはまず日本の秘境に全部回ることと、二つ目はジャニ―ズのアイドル全員のサインもらうことと…」

「ちょっ…ちょっと待てッ！」

(人1)は瞬時に話すのをやめる。「えっ、何？」というような表情で首を小さく傾げながらこちらを向いていた。オイオイ、気がつけよ。

「倉野お前…知ってるのか……？
「…何が？」

(人1)は明らかに何かを知っているようなのに、わざと知らない素振りをしてこちらに顔を向けている。

俺はその言葉を出すのに少々ためらったが、『いずれはわかること』…。そんな風に考えながら小声で小さく返した。

「し…死ぬって…わかってたのか…？」

きょどきょどとしていた心に(人1)は言葉の刃を入れる。

「うん、知ってたよ。」

あまりにもその答えはあっけらかんとしていて、正直反応に困る。
「…いつからだよ…？」

すると、(人1)は窓のほうを向いてすきまから漏れる冷たい風と共にその言葉は耳に響いてきた。
「…ずっと前から。11月くらいからかな。」

11月。それは(人1)が余命宣告された月。

…なるほど。俺の様子が少し変わったのに気付いたのか。
俺は小さく溜息を洩らし、クスッと鼻で笑う。

「…やっぱお前には、敵わねーわ。」