【オリジナル×ダンガンロンパ】二人の少女 (ページ43)

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第30話　優也過去編ページ43

小さな音もほとんど響く病院で俺の体から流れ落ちる滴の音が廊下に響いていて、荒い呼吸をしながら、俺は(人1)のいる病室へと向かった。

思い切りドアを開けると、そこには静かに寝ている(人1)と、その隣にいた(人1)のお母さんがいた。

どうやら(人1)は脱水症状で倒れたのだそう。けっして安心できる症状ではないのだが、命に別状はないとのことだ。

しかし俺はまだ知らなかったのだ。

…(人1)がもっと恐ろしい病に蝕まれていたことに。

それがわかったのはそれからわずか一週間後のことだ。

俺は(人1)の母に家に呼び出された。(人1)の母の表情は明らかに何かを必死に拒んでいるような…そんな顔だった。

そしてしばらく経った時、遂に(人1)の母は口を開いたのだ。

(人1)母：「実はね…(人1)……重い病を患わっているの。」

優：「…どんな病気なんですか？」

自分の答えの返答に少々ためらっていたが、小さな、か細い声でこう…言ったのだ。

(人1)母：「…がんよ…。」

その言葉を聞いた時、心の奥底に眠っていた何かがはじけたような感覚に陥った。

焦っていた。何故だろう。

俺は焦ったような表情でおばさんに問い詰める。

優：「で…でもガンだったら完治する方法はありますよね。ですよね！？」

しかしおばさんの表情は一向に明るくはならず、ただ…どんどん暗く、困惑したような表情になっていった。

(人1)母：「小さなガンじゃなくて、もう発達していたのよ。完全に取り除く方法は極めて難しいんだって…」

おばさんもそれ以上は何も言わなかった。…いや、言えなかったのだ。

それから俺はできるだけ病院に通うようにした。

(人1)は俺が病室に来るたびに『自分の体は異常なんてない』…そんな顔をして俺に接していた。

そのたびに俺もゲームで勝負したり、一緒にテレビ見たりした。

でも…やはり苦しみは抑えられそうにないようだった。

そして…中3の…秋だった。

(人1)は末期がんと診断されたのだ。

余命は……『半年』

(人1)の両親はそのことを聞いた時にどんな表情をしていたのだろうか。

俺はただただそのことを受け入れるしかなかった。

受け入れることしか…できなかったんだ。